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【実はNG】そのシミ抜きは間違いかも?正しいファンデがついた襟元の洗い方・完全ガイド

【実はNG】そのシミ抜きは間違いかも?正しいファンデがついた襟元の洗い方・完全ガイド

Yシャツやブラウスの襟元についたファンデーション、諦めていませんか?ファンデは油性の汚れなので、いきなり水で洗うのは実はNGです。この記事では、クレンジングオイルや食器用洗剤など家にあるものでできる正しいシミ抜きの手順を徹底解説。時間が経った頑固な汚れの落とし方から、外出先での応急処置、もう汚さないための予防策まで、ファンデ汚れの悩みをすべて解決します。

1. ファンデーション汚れが落ちにくい理由とやってはいけないNGな洗い方

「お気に入りのシャツの襟元に、いつの間にかファンデーションが…」そんな経験はありませんか?ファンデーションの汚れは、他の汚れと比べて落ちにくく、間違った方法で洗うとシミが広がったり、生地を傷めたりする原因になります。まずは、なぜファンデーション汚れが厄介なのか、その理由と絶対に避けるべきNGな洗い方を理解することから始めましょう。

1.1 ファンデーションは油性と色素の複合汚れ

ファンデーションの汚れが家庭での洗濯で簡単に落ちない最大の理由は、その成分にあります。ファンデーションは単なる「色」の汚れではなく、「油性汚れ」と「固形物(粉体)の汚れ」が混ざり合った、非常に頑固な「複合汚れ」なのです。

具体的には、以下のような成分で構成されています。

成分の種類 具体的な成分例 汚れとしての特徴
油性成分 シリコーンオイル、スクワラン、油脂類 水を弾き、衣類の繊維に強く絡みつきます。皮脂崩れを防ぐ効果があるため、水だけでは簡単に落ちません。
粉体成分(色素・顔料) 酸化チタン、酸化鉄、タルク、マイカ 色の原因となる固形の微粒子です。油性成分と混ざり合うことで、繊維の奥深くまで入り込んでしまいます。
その他 保湿成分、界面活性剤、紫外線吸収剤 汚れをさらに複雑化させる一因となります。

このように、油が接着剤のように働き、色の粒子を繊維に固着させてしまうため、通常の洗濯だけでは太刀打ちできないのです。この特性を理解することが、正しいシミ抜きへの第一歩です。

1.2 いきなり水で濡らすのは間違い

襟元のファンデーション汚れを見つけたとき、慌てて水で濡らして洗おうとするのは最もやってはいけないNG行動の一つです。良かれと思ってやったその行為が、実は汚れを落ちにくくする原因になってしまいます。

なぜなら、ファンデーションに含まれる油性成分は水を弾く性質があるからです。先に水で濡らしてしまうと、油分が水を弾いて汚れ全体をコーティングしてしまい、その後の洗剤が汚れの内部まで浸透するのを妨げてしまいます。さらに、水分によって色素の粒子が繊維のより広範囲、より奥深くに拡散してしまい、シミが薄く広がってかえって目立ってしまうこともあります。

ファンデーションのシミ抜きは、必ず衣類が乾いた状態から始めるのが鉄則です。このポイントは、ライオン株式会社が運営する生活情報メディア「Lidea」の記事でも、シミ抜きの基本として解説されています。

1.3 ゴシゴシ強くこするのは生地を傷める原因に

シミを落としたい一心で、汚れた部分をブラシで強くこすったり、生地同士を揉み合わせたりするのも絶対に避けてください。力を入れてこすることで、汚れが落ちるどころか、大切な衣類に回復不可能なダメージを与えてしまう危険性があります。

強くこすることによる主なデメリットは以下の通りです。

  • 生地の毛羽立ち・白化(スレ): 摩擦によって繊維の表面が毛羽立ち、その部分だけ白っぽく見えてしまいます。特に、綿や麻、色の濃い衣類では目立ちやすくなります。
  • 汚れの刷り込み: 汚れの粒子が物理的な力で繊維の奥へと押し込まれてしまい、さらに落ちにくい頑固なシミになります。
  • 生地の傷み・型崩れ: デリケートなシルクやレーヨン、ニット素材などは、少しの摩擦でも生地が傷んだり、伸びたりして型崩れを起こす原因となります。

ファンデーション汚れを落とす際の基本は「こする」のではなく、洗剤の力で汚れを「溶かし」、布などに「移し取る」というイメージです。焦らず、優しく丁寧に対処することが、衣類を守りながらシミをきれいにするための鍵となります。

2. ファンデがついた襟元を洗う前に必ず確認すべきこと

うっかりファンデーションがついてしまった襟元。「早く落とさなきゃ!」と焦ってすぐに洗い始めるのは少し待ってください。実は、その一手間を惜しむことが、お気に入りの洋服を台無しにしてしまう原因になりかねません。シミが逆に広がってしまったり、生地が縮んだり色落ちしてしまったり…。そんな悲しい事態を避けるため、シミ抜き作業に入る前に必ず確認すべき2つの重要なポイントを解説します。

2.1 衣類の洗濯表示をチェック

まず最初に確認すべきなのが、衣類についている「洗濯表示タグ」です。これは、その服を安全にお手入れするためのメーカーからの「取扱説明書」のようなもの。この表示を無視して自己流で洗ってしまうと、回復不可能なダメージを与えてしまう可能性があります。特に、水洗いが可能かどうかは最も重要なチェック項目です。

ファンデーションのシミ抜きで特に注目したい、主要な洗濯表示マークとその意味をまとめました。

洗濯表示マーク 意味 ファンデ汚れへの対応ポイント
(桶のマーク) 家庭での洗濯が可能 マーク内の数字は水の温度の上限です。シミ抜き後の通常洗濯の際に守りましょう。桶の下の線が多いほど、優しく洗う必要があります。
(桶に手を入れているマーク) 液温40℃を限度とし、手洗いができる 洗濯機は使えません。シミ抜き後も優しく手で押し洗いしましょう。
(桶に×がついているマーク) 家庭での洗濯禁止 水を使ったシミ抜きは基本的にNGです。後述するベンジンを使うか、無理せずクリーニング店に相談しましょう。
(三角のマーク) 漂白処理が可能 白いYシャツなど、より白く仕上げたい場合に確認します。三角に×がついている場合は、塩素系・酸素系ともに漂白剤は使えません。
(丸のマーク) ドライクリーニングが可能 水洗い不可の場合の選択肢です。丸の中に「P」や「F」の文字があれば、石油系の溶剤でクリーニングできることを示します。

より詳しい洗濯表示については、消費者庁のウェブサイトで確認できます。お手持ちの衣類の表示と見比べてみてください。

2.2 色落ちしないか目立たない場所で試す

洗濯表示で水洗いが可能だとわかっても、まだ安心はできません。次に、これから使おうとしているシミ抜き剤(クレンジングオイルや洗剤など)で「色落ち」しないかを確認するテストを行いましょう。特に、色の濃い衣類や柄物、デリケートな素材の場合は必須の工程です。

この色落ちテストを省略してしまい、シミは落ちたけれどその部分だけ白っぽく色が抜けてしまった…という失敗は非常によくあります。お気に入りの服を守るため、以下の簡単な手順で必ずチェックしてください。

  1. 衣類の縫い代や裾の裏側など、着たときに見えない目立たない部分を探します。
  2. その部分に、これからシミ抜きで使おうとしている洗剤やクレンジングオイルの原液を少量つけます。
  3. 5分ほど置いた後、白い布やティッシュ、綿棒などで軽く押さえます。
  4. 白い布に衣類の色が移っていなければ、そのシミ抜き剤を使っても色落ちの心配は低いと判断できます。もし色が移るようなら、その薬剤の使用は中止し、別の方法を試すかクリーニング店に依頼しましょう。

この2つのステップを確認するだけで、シミ抜きの失敗リスクを劇的に減らすことができます。少し面倒に感じるかもしれませんが、大切な衣類を長く着続けるために、ぜひ実践してください。

3. 【自宅で簡単】ファンデがついた襟元の基本的な洗い方ステップ

ファンデーションの汚れは、正しい手順さえ踏めばご家庭でも驚くほど綺麗に落とせます。ここでは、どんなシミ抜き剤を使う場合でも基本となる、3つのステップを詳しく解説します。いきなり洗濯機に入れるのではなく、この「ひと手間」が仕上がりを大きく左右します。

3.1 準備するものリスト

まずは、ファンデーションのシミ抜き作業をスムーズに進めるために、以下のアイテムを揃えましょう。身近にあるもので代用できるものも多いので、確認してみてください。

アイテム名 ポイント・選び方
シミ抜き剤 クレンジングオイルや食器用中性洗剤など、油汚れに強いもの。(詳しくは次の章で解説します)
タオル 汚れてもいい、色の薄いもの(できれば白)を2枚ほど。汚れが移ったか確認しやすいためです。
歯ブラシ 使い古しでOK。毛先が柔らかいものを選ぶと、生地を傷めにくくなります。
洗面器 シミ抜き後のすすぎ洗いに使用します。
ぬるま湯 30℃〜40℃程度のお湯。油汚れや洗剤を効率よく落とすために使います。

3.2 ステップ1 乾いた状態でシミ抜き剤をなじませる

ファンデーション汚れを落とす上で、最も重要なポイントです。必ず衣類が乾いた状態で、ファンデーション汚れに直接シミ抜き剤を塗布してください。

なぜなら、ファンデーションは油性の汚れだからです。先に水で濡らしてしまうと、油が水を弾いてしまい、シミ抜き剤が汚れの内部まで浸透しにくくなります。結果として、汚れ落ちが悪くなる原因となってしまうのです。

クレンジングオイルや食器用洗剤などを、ファンデーションが付着した部分に直接、優しく塗り広げましょう。指の腹でクルクルと円を描くように、汚れとシミ抜き剤をよくなじませるのがコツです。

3.3 ステップ2 歯ブラシなどで優しく叩き汚れを移す

シミ抜き剤がなじんだら、次は汚れを生地から分離させていきます。ここでの目的は「こすり落とす」のではなく、「叩いて下のタオルに汚れを移す」ことです。

  1. シミがついた部分の下に、乾いたタオルを敷きます。
  2. シミ抜き剤をなじませた部分を、上から歯ブラシで優しくトントンと叩きます。
  3. ゴシゴシ横にこするのは絶対にNGです。生地が毛羽立ったり傷んだりするだけでなく、汚れが周りに広がってしまう可能性があります。
  4. 下のタオルに汚れが移ってきたら、タオルの当てる位置をずらし、常にきれいな面で汚れを吸い取れるようにしましょう。
  5. 汚れが目立たなくなるまで、この作業を根気よく繰り返します。

この工程により、繊維の奥に入り込んだファンデーションの粒子が浮き上がり、下のタオルへと吸着されていきます。

3.4 ステップ3 ぬるま湯ですすいでから通常洗濯

シミが十分に薄くなったら、最後の仕上げです。洗面器に30℃〜40℃のぬるま湯をため、シミ抜きした部分を優しくもみ洗いするようにすすぎましょう。冷水よりもぬるま湯を使うことで、浮き上がった油分や残った洗剤成分をすっきりと洗い流すことができます。

しっかりとすすいだ後は、洗濯表示に従って、他の衣類と一緒に洗濯機で通常通りに洗濯してください。これで基本的なシミ抜きは完了です。

ただし、一つ注意点があります。洗濯・脱水後に乾燥機にかけるのは、シミが完全に落ちたことを確認してからにしましょう。もしシミが残ったまま熱を加えてしまうと、汚れが化学変化を起こして繊維に固着し、二度と取れなくなってしまう恐れがあります。不安な場合は、まず自然乾燥させるのが最も安全です。

より詳しいシミ抜きの方法については、花王の製品Q&Aサイトなども参考にしてみてください。

4. 【使うもの別】ファンデーションのシミ抜き方法4選

ファンデーションのシミ抜きは、特別な道具がなくても自宅にあるもので簡単に行えます。ここでは、代表的な4つのアイテムを使ったシミ抜き方法を、それぞれの特徴や注意点とともに詳しく解説します。衣類の素材や汚れの状態に合わせて、最適な方法を選んでください。

どの方法を試す場合でも、必ず事前に「洗濯表示の確認」と「色落ちチェック」を行うようにしましょう。

使うもの別シミ抜き方法の比較
アイテム 得意な汚れ 向いている衣類 主な注意点
クレンジングオイル 油性の汚れ全般(特にリキッド・クリームファンデ) 水洗いできる衣類全般 オイルが残らないよう乳化させ、しっかりすすぐ
食器用中性洗剤 油汚れ・皮脂汚れ 普段使いのYシャツやブラウスなど 必ず「中性」のものを選ぶ
固形石鹸 頑固な皮脂や色素の複合汚れ 白いYシャツや綿素材(色柄物は注意) 弱アルカリ性のため色落ちの可能性あり
ベンジン 油性の汚れ全般 水洗い不可のコート、ジャケット、シルクなど 火気厳禁・換気必須。輪ジミに注意

4.1 クレンジングオイルを使った洗い方

メイクを落とすためのクレンジングオイルは、同じ油性の汚れであるファンデーションを落とすのに非常に効果的です。「油は油で制す」の原則で、ファンデーションの油分を溶かし出してくれます。特に、油分を多く含むリキッドファンデーションやクリームファンデーションの汚れにおすすめです。

4.1.1 準備するもの

  • クレンジングオイル(水で乳化するタイプ)
  • タオル(汚れてもいいもの)
  • 歯ブラシ(使い古しでOK)

4.1.2 手順

  1. 襟元のファンデーション汚れが乾いていることを確認し、汚れ部分に直接クレンジングオイルを塗布します。量はシミ全体を覆うくらいが目安です。
  2. 指の腹で優しくクルクルとオイルをなじませ、ファンデーションを溶かしていきます。
  3. 少量のぬるま湯(30〜40℃)を加え、オイルが白く濁るまで(乳化するまで)さらになじませます。この乳化の工程が、汚れを繊維から浮かせるための最も重要なポイントです。
  4. ぬるま湯でオイルと汚れをしっかりと洗い流します。
  5. その後、洗濯表示に従って、洗濯機で通常通り洗濯します。

4.1.3 注意点

クレンジングオイルは、商品によってはオイル自体がシミの原因になることがあります。必ず、水と混ざると白く乳化するタイプを選びましょう。また、すすぎ残しがないように十分に洗い流してください。

4.2 食器用中性洗剤を使った洗い方

油汚れに強い食器用洗剤も、ファンデーションの油分を分解するのに役立ちます。界面活性剤の力で、皮脂とファンデーションが混ざった頑固な襟汚れにも効果を発揮します。多くのご家庭に常備されているため、手軽に試せる方法です。

4.2.1 準備するもの

  • 食器用中性洗剤
  • タオル(汚れてもいいもの)
  • 歯ブラシ(使い古しでOK)

4.2.2 手順

  1. シミの部分に食器用中性洗剤の原液を直接つけます。
  2. 歯ブラシの先に少し水をつけ、シミの部分を優しくトントンと叩くようにして洗剤をなじませます。ゴシゴシこすると生地を傷める原因になるため、叩いて汚れをタオルに移すイメージで行いましょう。
  3. 汚れが浮き出てきたら、ぬるま湯で洗剤をしっかりとすすぎます。
  4. シミが落ちているのを確認したら、通常通り洗濯機で洗います。

4.2.3 注意点

使用する洗剤は、必ず「中性」と表示されているものを選んでください。弱アルカリ性や酸性の洗剤は、衣類の色落ちや生地の傷みを引き起こす可能性があります。

4.3 固形石鹸(ウタマロ石鹸など)を使った洗い方

部分洗いの定番である「ウタマロ石鹸」などの洗濯用固形石鹸は、ファンデーション汚れにも威力を発揮します。弱アルカリ性の性質と含まれている界面活性剤が、油分と色素からなる複合的な汚れをしっかり分解します。特に、白いYシャツやブラウスの襟元をきれいにしたい場合に最適です。

4.3.1 準備するもの

  • 洗濯用固形石鹸(ウタマロ石鹸など)

4.3.2 手順

  1. 襟元の汚れた部分を、ぬるま湯でしっかりと濡らします。
  2. 固形石鹸を汚れに直接こすりつけ、石鹸の緑色(ウタマロ石鹸の場合)がつくまで塗り込みます。
  3. 生地が傷まないように注意しながら、優しくもみ洗いをします。汚れがひどい場合は、歯ブラシで軽く叩くのも効果的です。
  4. 泡がついた状態で5〜10分ほど放置すると、洗浄成分が浸透し、より汚れが落ちやすくなります。
  5. ぬるま湯でしっかりとすすぎ、その後、他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗ってください。

4.3.3 注意点

ウタマロ石鹸は弱アルカリ性で洗浄力が高い反面、色柄物やデリケートな素材に使うと色落ちや変色を起こす可能性があります。また、蛍光増白剤が配合されているため、生成りや淡い色の衣類に使うと、その部分だけ白っぽくなることがあります。使用前に必ず目立たない場所で試してからお使いください。

4.4 ベンジンを使った洗い方(水洗い不可の衣類に)

水洗いできないウールのコートやシルクのブラウス、ジャケットなどについてしまったファンデーションには、揮発性の高い溶剤である「ベンジン」を使います。薬局やドラッグストアで購入できます。水を使わないため、生地を傷めずに油性のシミを落とすことができます。

4.4.1 準備するもの

  • ベンジン(シミ抜き用)
  • タオル2枚(汚れてもいいもの)
  • ガーゼまたは白い布
  • ゴム手袋

4.4.2 手順

  1. 火の気がなく、風通しの良い場所で作業を行います。必ず窓を開け、換気扇を回してください。また、肌荒れ防止のためゴム手袋を着用します。
  2. シミの下に乾いたタオルを敷きます。これは、溶け出した汚れを吸収させるためのあて布です。
  3. ガーゼや白い布にベンジンを少量含ませます。
  4. まず、シミの輪郭の周りをポンポンと叩いてぼかします。これを行うことで、シミ抜き後に「輪ジミ」が残るのを防ぎます。
  5. 次に、シミの外側から中心に向かって、汚れを下のタオルに叩き出すように移していきます。
  6. 汚れがタオルに移らなくなったら、ベンジンがついていないきれいな布で、残ったベンジンを吸い取ります。
  7. 風通しの良い場所で、ベンジンが完全に揮発するまで陰干しします。

4.4.3 注意点

ベンジンは非常に引火しやすいため、ストーブやコンロなどの火気の近くでは絶対に使用しないでください。また、揮発したガスを吸い込むと気分が悪くなることがあるため、長時間の作業は避け、必ず十分な換気を行ってください。デリケートな素材に使う際は、裏側の縫い代など目立たない部分で変色や生地の傷みが起きないか、必ず事前にテストをしてください。

5. 【状況別】ファンデーション汚れの対処法

ファンデーションの汚れは、ついた直後なのか、時間が経ってしまったのか、また衣類の種類によっても最適な落とし方が異なります。ここでは、よくある3つのシチュエーション別に、具体的な対処法を詳しく解説します。いざという時に慌てないよう、正しい知識を身につけておきましょう。

5.1 外出先でファンデがついた時の応急処置

外出先で襟元にファンデーションがついてしまうと、一日中気分が下がってしまいますよね。しかし、焦って間違った対処をすると、かえってシミを広げてしまう原因になります。ここでは、その場でできる応急処置の手順をご紹介します。

最も重要なのは、乾いたティッシュで油分を吸い取ることです。ファンデーションは油分を多く含んでいるため、いきなり水で濡らすと油分が水に弾かれて生地の奥に広がり、シミが定着しやすくなります。

  1. こすらずに油分を取る: 乾いたティッシュやハンカチを汚れの上に置き、上から軽く指で押さえてファンデーションの油分と粉体を吸い取ります。絶対にこすらないでください。
  2. 水で叩く: 固く絞ったウェットティッシュ、または水で濡らして固く絞ったティッシュやハンカチで、シミの輪郭の外側から中心に向かって優しくトントンと叩きます。こうすることで、汚れが広がるのを防ぎ、輪ジミになりにくくなります。
  3. 水分を吸い取る: 最後に、乾いたティッシュで叩いた部分の水分をしっかり吸い取ります。

もし携帯用のシミ抜き剤(シミとりレスキューなど)をお持ちであれば、それを使うのが最も効果的です。ただし、これらはあくまで応急処置。帰宅したら、できるだけ早く本記事で紹介している方法で洗濯し、汚れを完全に落としきることが大切です。

5.2 時間が経った頑固なシミの落とし方

「気づいた時にはファンデーションのシミがくっきり…」「洗濯したのに黄ばみが残ってしまった」そんな時間が経った頑固な汚れは、ファンデーションの油分が酸化してしまっている状態です。通常の洗濯だけでは落とすのが難しくなりますが、諦めるのはまだ早いです。油分を分解し、色素を漂白する二段階のケアで対処しましょう。

ステップ1:クレンジングオイルで油分を分解する

時間が経ったファンデーション汚れには、まずメイクを落とすクレンジングオイルで油分を浮かせるのが効果的です。シミの部分にクレンジングオイルを直接塗り、指の腹で優しくクルクルとなじませます。生地の奥に入り込んだ油分を溶かし出すイメージで行いましょう。

ステップ2:酸素系漂白剤でつけ置き洗い

油分を分解したら、次は色素沈着を落とすために漂白します。色柄物にも安心して使える「酸素系漂白剤」を使いましょう。

  1. 洗面器などに40℃〜50℃のぬるま湯をため、規定量の酸素系漂白剤(オキシクリーン、ワイドハイターEXパワーなど)をよく溶かします。
  2. クレンジングオイルをなじませた衣類をそのまま入れ、30分〜1時間ほどつけ置きします。
  3. つけ置き後、シミの部分を軽くもみ洗いし、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯します。

塩素系漂白剤は漂白力が強い反面、色落ちや生地を傷める原因になるため、白い無地の綿・麻・ポリエステル製品以外には絶対に使用しないでください。

5.3 Yシャツやブラウス以外の衣類についた場合

ファンデーション汚れは、Yシャツやブラウスだけでなく、コートやニットなど、デリケートな素材についてしまうこともあります。ここでは、家庭での洗濯が難しい衣類や、特に注意が必要な素材の対処法をご紹介します。

5.3.1 コートやジャケットの襟元のファンデ汚れ

ウールやカシミヤなど、水洗いできないコートやジャケットの襟元についたファンデーション汚れは、クリーニングに出すのが最も安全です。しかし、軽い汚れであれば自宅で部分的にケアすることも可能です。その際は、揮発性の高い「ベンジン」を使用します。

【ベンジンを使った部分ケア】

  1. 必ず窓を開けて換気を良くし、火の気のない場所で行ってください。
  2. 汚れてもいい乾いたタオルをシミの下に当てます。
  3. 別の白い布や綿棒にベンジンを少量含ませ、シミの外側から中心に向かって、下に敷いたタオルに汚れを移すように優しく叩きます。
  4. 汚れが目立たなくなったら、ベンジンをつけたきれいな布でシミの周りをぼかすように叩き、輪ジミを防ぎます。
  5. 風通しの良い日陰でベンジンを完全に揮発させ、乾かします。

ベンジンを使用する前には、必ずコートの裏側など目立たない部分で色落ちや生地の傷みが起きないかテストしてください。自信がない場合や、高価な衣類の場合は、無理せずプロのクリーニング店に相談しましょう。

5.3.2 ニット素材の襟元のファンデ汚れ

ニットは摩擦に弱く、型崩れや縮みが起きやすいデリケートな素材です。ファンデーション汚れを落とす際は、ゴシゴシこすらず、優しくケアすることが鉄則です。

  1. ファンデーションがついた部分に、おしゃれ着用中性洗剤(エマール、アクロンなど)の原液を直接つけます。
  2. 指の腹で、生地を伸ばさないように優しくトントンと叩いて洗剤をなじませます。
  3. 30℃以下の水またはぬるま湯を入れた洗面器で、衣類全体を優しく押し洗いします。
  4. 洗剤が残らないよう、きれいな水で2〜3回すすぎます。
  5. 脱水は、洗濯ネットに入れて洗濯機で30秒〜1分程度のごく短い時間で行うか、タオルで挟んで水気を吸い取る「タオルドライ」がおすすめです。
  6. 干す際は、ハンガーにかけると重みで伸びてしまうため、必ず平干しネットを使用するか、物干し竿に袖と身頃を渡すようにかけて干してください。

ニット素材の洗濯で失敗しないためのポイントを以下の表にまとめました。

やってはいけないNGケア おすすめのOKケア
ゴシゴシこする・もむ おしゃれ着用洗剤の原液をつけ、優しく叩き洗い・押し洗いする
40℃以上のお湯を使う 30℃以下の水またはぬるま湯を使用する
通常の洗濯機コースで洗う・長く脱水する 手洗いコースで洗うか、30秒〜1分の短時間脱水にする
ハンガーにかけて干す 平干しネットを使うか、竿に渡して干す

大切なニットを長く愛用するためにも、正しいお手入れ方法を実践しましょう。

6. もう汚さない ファンデーションが襟元につくのを防ぐ3つの工夫

毎回ファンデーションのシミ抜きをするのは、時間も手間もかかり大変ですよね。大切な衣類を長持ちさせるためにも、シミ抜きの方法とあわせて「汚さないための予防策」を実践することが重要です。ここでは、今日からすぐに取り入れられる3つの簡単な工夫をご紹介します。一手間加えるだけで、襟元のキレイが長続きしますよ。

6.1 ベビーパウダーやフェイスパウダーをはたく

メイクの仕上げに使うフェイスパウダーや、赤ちゃんの肌にも使えるベビーパウダーが、実は襟元のファンデーション付着防止に役立ちます。パウダーの細かい粒子が肌と衣類の間のクッションとなり、直接ファンデーションが繊維に付着するのを防いでくれるのです。

さらに、パウダーには汗や皮脂を吸収する効果があるため、時間が経ってもメイクが崩れにくくなり、結果として衣類への色移りを抑えることができます。

使い方はとても簡単です。着替える前に、襟が直接当たる首筋やデコルテに、パフや大きめのブラシでパウダーを薄くはたくだけ。手持ちのルースタイプのフェイスパウダーで代用できますが、コストを抑えたい場合は大容量のベビーパウダーがおすすめです。ただし、つけすぎると衣類が白っぽくなることがあるので、軽くのせる程度にしましょう。

6.2 襟元汚れ防止テープを活用する

「絶対に汚したくない」というお気に入りのYシャツやブラウスには、専用の「襟元汚れ防止テープ」が最も効果的です。これは、衣類の襟の内側に直接貼り付けて汚れを物理的にガードするためのアイテム。ファンデーションだけでなく、汗ジミや皮脂による黄ばみも防いでくれる優れものです。

テープは使い捨てタイプが主流で、着用後に剥がして捨てるだけなので洗濯の手間が格段に省けます。透明で目立たないタイプや、吸水・吸湿性に優れたタイプなど、様々な種類が販売されています。

特に、クリーニングにしか出せないコートやジャケットの襟元保護にも最適です。肌が弱い方は、粘着剤によるかぶれが起きないか、短時間試してから使用することをおすすめします。

襟元汚れ防止テープの種類と特徴
テープの種類 主な特徴 おすすめの衣類
透明フィルムタイプ 薄くて目立ちにくい。粘着力が比較的高く、剥がれにくい。 白いYシャツ、ブラウス、色柄物のシャツなど
不織布・布タイプ 汗を吸収する効果が高い。肌あたりが柔らかい。 汗をかきやすい時期のシャツ、ジャケット、学生服など
弱粘着タイプ デリケートな素材にも使いやすく、剥がすときに生地を傷めにくい。 シルクのブラウス、カシミヤのコートなど

6.3 メイクキープミストで化粧崩れを防ぐ

衣類への付着は、ファンデーションが汗や皮脂、摩擦によって崩れることが大きな原因です。そこで、メイクの仕上げに「メイクキープミスト」をプラスする習慣を取り入れてみましょう。

メイクキープミストは、肌の表面に均一な皮膜を形成し、ファンデーションを肌にしっかりと密着させる効果があります。これにより、汗や湿気、マスクの摩擦などによるメイク崩れを長時間防ぎ、襟元へのファンデーション移りを根本から軽減できます。

使い方は、メイクがすべて完了した後に、顔から20cmほど離して目と口を閉じ、顔全体に数プッシュするだけ。スプレー後は自然に乾くのを待ちます。保湿成分が配合されたものや、紫外線カット効果があるものなど、様々な製品があるので、ご自身の肌質やライフスタイルに合わせて選んでみてください。顔全体の化粧持ちが良くなるため、襟元だけでなくマスクへのファンデーション付着が気になる方にも一石二鳥のアイテムです。

7. まとめ

襟元についたファンデーション汚れは、油分と色素からなる複合的な汚れのため、いきなり水で濡らすのは逆効果です。正しい落とし方のポイントは、洗う前にクレンジングオイルや食器用洗剤などで油分を先に溶かすこと。乾いた衣類に直接洗剤をなじませ、歯ブラシで優しく叩いて汚れを浮かせてから通常洗濯するのが基本です。時間が経ったシミも諦めずに、本記事で紹介した方法を試してみてください。日頃から汚れを防ぐ工夫も取り入れ、お気に入りの洋服をきれいに保ちましょう。