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そのやり方NGかも?夏の衣類収納、カビさせないコツは「しまう前の一手間」で決まる!

そのやり方NGかも?夏の衣類収納、カビさせないコツは「しまう前の一手間」で決まる!

夏の衣替え、お気に入りの服を来年もきれいに着たいのに、カビが心配ではありませんか?夏の衣類をカビから守る最大のコツは、実は収納前の「洗濯」と「乾燥」という一手間にあります。この記事を読めば、カビの原因からやってはいけないNG収納法、しまう前の正しい一手間、さらには万が一カビが生えた時の対処法まで、夏の衣類収納の全てが分かります。正しい対策で、大切なお洋服をカビから完璧に守りましょう。

1. 夏の衣類がカビやすいのはなぜ?原因を知って正しく対策

秋になり、衣替えで夏の衣類をしまおうとした時、あるいはお気に入りの夏服を久しぶりに取り出した時、白い点々や黒いシミを見つけてショックを受けた経験はありませんか?実は、夏の衣類は他の季節の服に比べて、圧倒的にカビやすい条件下にあります。

「ちゃんと洗濯してしまったはずなのに…」と思っても、カビは容赦なく発生します。効果的な対策を行うためには、まず「なぜ夏の衣類がカビやすいのか」という根本的な原因を理解することが不可欠です。原因を知れば、取るべき対策が明確になります。

1.1 カビが発生する3つの条件「温度・湿度・栄養」

カビは私たちの生活空間のどこにでも存在する微生物の一種です。普段は目に見えませんが、特定の条件が揃うと一気に繁殖し、衣類に根を張ってしまいます。そのカビが発生・繁殖するための3大条件が「温度」「湿度」「栄養」です。

驚くことに、衣類をしまうクローゼットや押入れは、この3つの条件が偶然にも揃いやすい「カビの楽園」になりがちなのです。それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

条件 カビが活発になる目安 収納場所との関係
温度 20℃~30℃ カビが最も好むこの温度帯は、人間が快適に過ごせる温度とほぼ同じです。そのため、気密性の高い現代の住宅では、クローゼットや押入れの中が一年を通してこの温度に保たれやすくなっています。
湿度 60%以上で活動開始
80%以上で急増
カビは湿気が大好きです。湿度60%を超えると活動を始め、80%を超えると爆発的に繁殖します。高温多湿な日本の夏を過ごした衣類は、目に見えない湿気を大量に含んでおり、そのまま収納すると収納空間全体の湿度を上げてしまいます。
栄養 汗・皮脂・食べこぼし・ホコリなど カビも生き物であるため、成長するための栄養が必要です。衣類に残った汗や皮脂、髪の毛、フケ、食べ物のわずかなシミ、さらには洗濯で落としきれなかった洗剤カスまで、あらゆるものがカビの栄養源となります。

これらの3つの条件のうち、1つでも欠ければカビの繁殖は大幅に抑制できます。温度や湿度のコントロールも大切ですが、最も確実に対策できるのが「栄養」を断ち切ることなのです。

1.2 汗や皮脂汚れが残った衣類はカビの絶好のエサ

夏の衣類がカビやすい最大の理由は、「汗」や「皮脂」といった目に見えない汚れが繊維の奥に大量に残っているからです。

夏場は、自分でも気づかないうちにたくさんの汗をかいています。Tシャツや肌着はもちろん、Yシャツやブラウス、ワンピースなども、直接肌に触れることで汗や皮脂を吸い込んでいます。これらの汚れは、一見きれいに見えても、洗濯で完全に落としきれていないケースが少なくありません。

特に、汗に含まれる塩分や尿素、アミノ酸、そして皮脂は、カビにとって最高のごちそうです。収納ケースやクローゼットという密閉された空間で、適度な温度と湿度が保たれた場合、これらの汚れを栄養源にしてカビはどんどん繁殖していきます。これが、衣替えで出した服から嫌なニオイがしたり、黄ばみや黒カビが発生したりするメカニズムです。

2. 実は逆効果かも?やってはいけないNGな夏の衣類収納法

夏の衣替え、良かれと思ってやっているその収納方法が、実はカビの発生を手助けしているかもしれません。大切なお洋服を来シーズンも気持ちよく着るために、まずは「やってはいけないNGな収納法」を知っておきましょう。うっかりやりがちな3つのポイントをチェックし、正しい衣類ケアの第一歩を踏み出しましょう。

2.1 「一度しか着てないから」と洗濯せずにしまう

「短時間しか着ていないし、汗もかいていないから大丈夫」と、洗濯せずにTシャツやブラウスを衣装ケースにしまっていませんか?これは、カビを自ら育てているようなもの。絶対に避けるべきNG行動です。

一見きれいに見える衣類にも、目には見えない汗や皮脂、フケ、ホコリなどが付着しています。特に夏服は、自分では気づかないうちに大量の汗を吸い込んでいるもの。これらの汚れは、カビにとって最高の栄養源となります。収納ケースやクローゼットの中は、湿気がこもりやすく、カビが発生する「温度・湿度・栄養」の3条件が揃いやすい環境です。そこに栄養源となる汚れた衣類をしまえば、カビが繁殖するのは時間の問題と言えるでしょう。

さらに、皮脂汚れは時間とともに酸化し、頑固な「黄ばみ」の原因にもなります。また、衣類を食べる害虫(ヒメカツオブシムシなど)も、皮脂や食べこぼしの汚れが大好物。洗濯せずにしまうことは、カビだけでなく、黄ばみや虫食いのリスクも高めてしまうのです。

一度でも袖を通した夏服は、必ず洗濯し、汚れを完全に落としてから収納することを徹底してください。

2.2 クリーニングのビニールカバーをつけたまま収納する

クリーニングから戻ってきた衣類にかけられているビニールカバー。「ホコリがつかなくて便利だから」と、そのままクローゼットに保管している方は非常に多いですが、これも大きな間違いです。

あのビニールカバーは、あくまでクリーニング店から自宅へ持ち帰るまでの間に、ホコリや汚れが付着するのを防ぐための一時的なもの。通気性がまったくないため、つけたまま収納すると内部に湿気がこもり、カビが繁殖する絶好の温床になってしまいます。

また、クリーニングの際に使用された石油系の溶剤が完全に揮発しきれていない場合、ビニールカバー内にガスが充満し、化学変化によって衣類が変色してしまう「ガスやけ」という現象を引き起こす可能性もあります。全国クリーニング生活衛生同業組合連合会も、ビニールカバーを外して保管することを推奨しています。

クリーニングから衣類が戻ってきたら、以下の手順を必ず守りましょう。

  1. すぐにビニールカバーを外す。
  2. タグ(番号札)も取り外す。(ホチキスの針で生地を傷める可能性があるため)
  3. 風通しの良い日陰で1〜2時間ほど干し、残った湿気や溶剤を完全に飛ばす。
  4. ホコリが気になる場合は、通気性の良い不織布製のカバーにかけ替えてから収納する。

2.3 衣装ケースやクローゼットに衣類を詰め込みすぎる

衣替えの際、少しでも多くの衣類をしまおうと、衣装ケースやクローゼットにぎゅうぎゅうに詰め込んでいませんか?スペースを有効活用したい気持ちはわかりますが、衣類の詰め込みすぎは、カビの発生に直結する危険な行為です。

衣類を詰め込みすぎると、空気の通り道がなくなり、湿気がこもりやすくなります。特に、プラスチック製の衣装ケースは密閉性が高い反面、一度入った湿気が抜けにくいという特徴があります。衣類が密集した状態で湿気がこもれば、カビの発生リスクは一気に高まります。

また、衣類が圧迫されることで、頑固なシワや型崩れの原因にもなります。防虫剤を入れても、その成分が隅々まで行き渡らず、効果が半減してしまうことも。大切な衣類を守るためには、「腹八分目」ならぬ「収納八分目」を心がけることが重要です。

収納スペースに対して、衣類の量は7〜8割程度に抑え、衣類と衣類の間に空気が流れる隙間を作るようにしましょう。これにより、湿気がたまるのを防ぎ、防虫・防カビ効果も全体に行き渡りやすくなります。

やってはいけないNG収納法まとめ
NGな収納法 なぜNGなのか?(リスク) 正しい対策
洗濯せずにしまう 目に見えない汗や皮脂がカビの栄養源になる。黄ばみや虫食いの原因にもなる。 一度でも着た服は必ず洗濯し、汚れを完全に落としてからしまう。
クリーニングのビニールをつけたまま 通気性が悪く湿気がこもり、カビが発生しやすくなる。ガスの充満による変色のリスクもある。 すぐにビニールを外し、風通しの良い場所で陰干ししてからしまう。
衣類を詰め込みすぎる 空気の通り道がなくなり湿気がこもる。シワや型崩れ、防虫剤の効果半減にも繋がる。 収納量はスペースの7〜8割に抑え、衣類間に隙間を作る。

3. カビさせない最重要ポイントは「しまう前の3つの手間」

夏の衣類を来シーズンも気持ちよく着るためには、収納前の「ひと手間」がすべてを決めると言っても過言ではありません。面倒に感じるかもしれませんが、このひと手間こそがカビを防ぐ最も効果的な対策です。ここでは、衣替えの際に絶対に押さえておきたい3つの最重要ポイントを、具体的な方法とともに詳しく解説します。

3.1 手間1「洗濯」見えない汚れを完璧に落としきる

夏の衣類がカビる最大の原因は、繊維の奥に残った「目に見えない汚れ」です。汗や皮脂、日焼け止め、制汗剤の成分などは、一見きれいに見えても洗濯で落としきれていないことが多く、これらが湿気と結びつくことでカビの絶好の栄養源となってしまいます。「一度しか袖を通していないから」「汗をかかなかったから」という油断が、カビや黄ばみを引き起こすことを肝に銘じ、収納前には必ずすべての衣類を洗濯しましょう。

3.1.1 自宅で洗うなら酸素系漂白剤の活用がおすすめ

普段の洗濯用洗剤だけでは落としきれない頑固な皮脂汚れや雑菌には、「酸素系漂白剤」の活用が非常に効果的です。塩素系漂白剤と違い、色柄物にも安心して使えるのが嬉しいポイント。衣替え前の洗濯では、ぜひ一手間加えてみてください。

酸素系漂白剤には主に2つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、衣類に合わせて使い分けましょう。

タイプ 主成分 特徴 適した衣類
粉末タイプ 過炭酸ナトリウム アルカリ性で洗浄力・漂白力が高い。除菌・消臭効果も優れている。 Tシャツ、Yシャツ、タオルなど、比較的丈夫な白い衣類や色落ちしにくい衣類。
液体タイプ 過酸化水素 弱酸性で生地に優しく、ウールやシルクなどのデリケート素材にも使用可能。 おしゃれ着、色柄が繊細な衣類、デリケートな素材の衣類。

特におすすめなのが、40℃〜50℃のお湯を使った「つけおき洗い」です。洗面器や洗濯桶にお湯と規定量の酸素系漂白剤を溶かし、30分〜1時間ほど衣類をつけおきしてから、他の洗濯物と一緒に通常通り洗濯機で洗います。このひと手間で、繊維の奥に染み込んだ汚れや菌を根こそぎ分解・除去できます。

3.1.2 黄ばみ対策にもなる一手間

「去年しまったTシャツを出したら、首元や脇が黄ばんでいた…」という経験はありませんか?この黄ばみの原因も、落としきれなかった皮脂汚れが長期間の保管中に酸化することにあります。つまり、酸素系漂白剤を使った徹底的な洗濯は、カビ対策と同時に来シーズンの黄ばみ予防にもなる、まさに一石二鳥の重要な工程なのです。

3.2 手間2「乾燥」湿気を完全に断ち切る

カビ発生の三大条件「温度・栄養・湿度」のうち、洗濯で「栄養」を断ったら、次に取り組むべきは「湿度」を完全に断ち切ることです。少しでも湿気が残ったまま衣類を収納してしまうと、密閉された収納ケース内はカビにとって天国のような環境になってしまいます。「乾いたつもり」の生乾きが最も危険です。

3.2.1 天気の良い日にしっかり天日干し

衣替えの洗濯物は、空気が乾燥した晴天の日を狙って干しましょう。太陽光には殺菌効果も期待できます。特に乾きにくい脇の下や襟、ポケット部分に風が通るよう、厚みのあるハンガーを使ったり、衣類を裏返して干したりする工夫が大切です。手で触って乾いていると感じても、繊維の芯には湿気が残っていることがあります。念には念を入れ、カラッと完璧に乾かしきりましょう。ただし、紫外線による色あせが心配なデリケートな衣類は、風通しの良い日陰で干すなど、洗濯表示に従ってください。

3.2.2 アイロンがけで最後の湿気を取り除く

完璧な乾燥を目指すための、プロも実践する最後の仕上げが「アイロンがけ」です。天日干しでも取りきれなかった繊維の奥深くの湿気を、アイロンの熱で完全に蒸発させることができます。この時、スチーム機能は使わず「ドライ」でかけるのが鉄則です。アイロンの熱には殺菌効果もあり、カビ予防に絶大な効果を発揮します。
アイロンをかけた直後の衣類は熱と湿気を含んでいるため、すぐにタンスや収納ケースにしまってはいけません。ハンガーにかけるなどして、30分〜1時間ほど置き、完全に熱が冷めてから収納しましょう。

3.3 手間3「収納場所の準備」衣類が快適に過ごせる環境づくり

完璧に洗濯・乾燥させた衣類も、しまう場所が汚れていたり湿気がこもっていたりしては台無しです。衣類をしまう前に、クローゼットや押入れ、衣装ケースといった「収納場所」の環境を整えることが、カビ対策の総仕上げとなります。

3.3.1 クローゼットや押入れの掃除と換気

衣替えは、収納スペースをリセットする絶好のチャンスです。まず、中に入っているものをすべて取り出し、何もない状態にしましょう。隅に溜まったホコリや髪の毛はカビの栄養源になるため、掃除機で徹底的に吸い取ります。その後、エタノール(アルコール)除菌スプレーを布に含ませて、壁や棚を隅々まで拭き上げます。これにより、目に見えないカビの胞子を除去できます。
掃除が終わったら、扉を全開にし、扇風機やサーキュレーターで風を送り込んで内部を強制的に換気・乾燥させましょう。最低でも1時間以上、できれば半日ほどかけて湿気を完全に追い出すのが理想です。

3.3.2 除湿剤と防虫剤を正しくセットする

掃除と換気が終わったら、カビと虫食いを防ぐための最終兵器、除湿剤と防虫剤をセットします。これらはただ置けば良いというものではなく、効果を最大限に引き出すための「正しい置き方」があります。

アイテム 効果的な設置場所 ポイント
除湿剤 下の方(床や棚の低い位置) 湿気は空気より重く、下に溜まる性質があります。クローゼットの床や押入れの下段に置くのが基本です。シートタイプを衣装ケースの底に敷くのも効果的です。
防虫剤 上の方(ハンガーパイプや衣類の上) 防虫成分は空気より重く、上から下へ広がる性質があります。ハンガーパイプに吊るしたり、衣装ケース内の衣類の一番上に置いたりするのが正解です。

注意点として、異なる種類の防虫剤(例:パラジクロルベンゼンとナフタリン)を混ぜて使うと、化学反応で溶けて衣類にシミを作ることがあります。防虫剤は必ず種類を統一して使用しましょう。製品パッケージに記載されている使用量の目安と有効期間を守ることも大切です。詳しくは、エステー株式会社のQ&Aページなども参考に、正しく設置してください。

4. これで完璧!カビを防ぐ夏の衣類収納のコツ

「しまう前の3つの手間」を完璧にこなしたら、いよいよ収納です。しかし、ここで油断は禁物。収納方法を間違えると、せっかくの努力が水の泡になってしまいます。衣類が次のシーズンまで快適に過ごせるよう、収納環境を整える最後の仕上げを行いましょう。

4.1 収納ケースは通気性の良い不織布タイプがおすすめ

夏の衣類を長期間保管する際、収納ケース選びはカビ対策の重要な分かれ道となります。一般的に使われるプラスチック製の衣装ケースは、密閉性が高くホコリや害虫を防ぎやすいというメリットがあります。しかし、その密閉性の高さが仇となり、一度ケース内に湿気が入り込むと逃げ場がなくなり、カビが繁殖する絶好の環境を作り出してしまうのです。

そこでおすすめなのが、通気性に優れた「不織布(ふしょくふ)」タイプの収納ケースです。不織布は空気を通しやすいため、ケース内に湿気がこもるのを防ぎ、カビのリスクを大幅に軽減してくれます。大切な衣類を湿気から守るためには、収納ケースの「通気性」を最優先に考えましょう。

収納ケースの種類別メリット・デメリット
ケースの種類 メリット デメリット
不織布タイプ ・通気性が抜群で湿気がこもりにくい
・軽量で扱いやすい
・比較的に安価
・耐久性はプラスチックに劣る
・積み重ねすぎると型崩れしやすい
・外部からの強い衝撃には弱い
プラスチックタイプ ・密閉性が高くホコリや害虫に強い
・頑丈で積み重ねやすい
・中身が見える透明タイプが多い
・通気性が悪く湿気がこもりやすい
・一度湿気が入るとカビの温床に
・衣類を詰め込みすぎると危険

すでにプラスチック製の衣装ケースをお使いの場合は、衣類を詰め込みすぎず、必ず除湿剤を一緒に入れるようにしてください。そして、シーズン中に1〜2回、天気の良い乾燥した日に蓋を開けて空気を入れ替える習慣をつけるだけでも、カビの発生率を大きく下げることができます。

4.2 クローゼットや押入れでは衣類同士の間隔をあける

収納スペースに衣類をぎゅうぎゅうに詰め込んでいませんか?衣類と衣類の間に隙間がない状態は、空気の通り道を塞ぎ、湿気がたまる原因になります。カビは湿った場所を好むため、これは非常に危険な状態です。

長期保管する際は、クローゼットや収納ケースの中は「8割収納」を心がけ、衣類が呼吸できるスペースを確保してあげましょう。

  • ハンガーで吊るす場合:衣類同士が密着しないよう、ハンガーの間に指1〜2本分の隙間をあけましょう。これにより、空気が循環しやすくなります。
  • たたんで収納する場合:引き出しや収納ケースにぎっしり詰めず、少しゆとりを持たせて収納します。上に重ねすぎると下の衣類が圧迫され、湿気の逃げ道がなくなるので注意が必要です。

衣替えは、手持ちの服を見直す絶好のチャンスでもあります。「この1年着なかったな」という服は、思い切って手放すことを検討してみましょう。収納スペースにゆとりが生まれれば、カビ対策が楽になるだけでなく、毎日の服選びも快適になります。

4.3 浴衣や水着など特殊な夏の衣類の収納方法

Tシャツやブラウスといった普段着だけでなく、浴衣や水着など、夏ならではの特別な衣類も正しい方法で収納することが大切です。素材や特性に合わせたケアで、来年も気持ちよく使えるように準備しましょう。

特に注意が必要なアイテムの洗い方と収納のコツを下の表にまとめました。ご家庭で洗濯する際は、必ず衣類についている洗濯表示を確認してください。

浴衣・甚平 ・着用後はすぐにハンガーにかけ、汗を飛ばす。
・家庭で洗える素材か洗濯表示を確認。木綿や麻、ポリエステル製は自宅で手洗いが可能な場合も。
・洗濯後はシワを伸ばし、風通しの良い場所で「陰干し」する。
・湿気と型崩れを防ぐ「たとう紙」に包んで保管するのが理想。
・なければ通気性の良い不織布ケースへ。
・必ず防虫剤を一緒に入れる。
水着 脱いだらすぐに真水で洗い流し、海水やプールの塩素、日焼け止めを落とす。
・洗剤を使う場合はおしゃれ着洗い用の中性洗剤で優しく手洗い(もみ洗い)する。
・絞らずにタオルで挟んで水気を取り、形を整えて「陰干し」で完全に乾かす。
・湿気がこもるビニール袋やジップロックでの保管はNG。
・カップが型崩れしないように整え、通気性の良いポーチや布袋に入れて保管する。
・ゴムの劣化を防ぐため、防虫剤が直接触れないように注意する。
麻(リネン)製品 ・シワになりやすいデリケートな素材。洗濯ネットに入れてドライコースなどで優しく洗う。
・脱水は短時間で済ませ、濡れたまま放置しない。
・干す際に手でシワをよく伸ばす。
・たたむとシワがつきやすいため、ハンガーにかけて吊るして保管するのがおすすめ。
・たたむ場合は、折り目がきつくならないよう、ゆるめにたたんで収納する。

これらのひと手間をかけることで、お気に入りの夏服を来シーズンも美しい状態で迎えることができます。正しい収納術をマスターして、カビの悩みから解放されましょう。

5. もし夏服にカビが生えてしまったら?初期段階の対処法

大切にしまっておいたはずの夏服に、黒や白の点々が…。それはカビかもしれません。衣替えで出した服にカビを見つけると、ショックで捨ててしまいたくなるかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。発生してすぐの初期段階のカビであれば、ご家庭での対処で落とせる可能性があります。

ただし、作業を始める前には注意点があります。カビの胞子を吸い込んだり、他の衣類に付着させたりしないよう、必ず屋外か換気の良い場所で、マスクとゴム手袋を着用して作業を行いましょう。

5.1 家庭でできるカビの落とし方

カビの種類や衣類の素材によって対処法が異なります。まずは衣類の洗濯表示を確認し、水洗いできるかどうかをチェックしてください。水洗い不可の衣類や、これから紹介する方法で落ちない頑固なカビは、無理せずプロに任せましょう。

最初に、乾いた状態で衣類の表面についたカビを、古い歯ブラシなどで優しく払い落とします。生地を傷めないよう、一定方向にそっとブラッシングするのがコツです。

5.1.1 カビの種類別アプローチ早見表

カビの種類 特徴 主な対処法 注意点
白カビ 表面に付着した、ふわふわ・サラサラしたカビ。比較的軽度なことが多い。 消毒用エタノール(アルコール) 色落ちの可能性があるので、必ず目立たない部分で試してから使用する。
黒カビ 繊維の奥に根を張る、点状のしつこいカビ。色素が沈着していることが多い。 酸素系漂白剤 色柄物にも使用できるが、製品の注意書きをよく読み、つけ置き時間を守る。

5.1.2 白カビには「消毒用エタノール」

比較的軽い白カビは、消毒用エタノールで除菌することで対処できる場合があります。

  1. カビをブラシで払い落とした後、エタノールを染み込ませた布やティッシュで、カビの部分を優しく叩くように拭き取ります。
  2. その後、カビのあった部分に直接エタノールをスプレーし、10〜15分ほど放置します。
  3. 最後に、通常通り洗濯機で洗い、天日でしっかりと乾かしてください。日光による殺菌効果も期待できます。

※必ず目立たない裏側などで色落ちしないかパッチテストを行ってください。

5.1.3 黒カビには「酸素系漂白剤」でのつけ置き

繊維の奥に根を張ってしまった黒カビには、酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗いが効果的です。色柄物のTシャツやブラウスにも安心して使いやすいのが特徴です。

  1. 洗面器やバケツに、衣類が浸かるくらいの量のお湯(40℃〜50℃が効果的)を準備します。
  2. お湯に規定量の酸素系漂白剤(粉末タイプがより強力でおすすめ)をよく溶かします。
  3. カビが生えた衣類を入れ、30分〜1時間ほどつけ置きします。お湯が冷めないように、途中で差し湯をするか、蓋をするなどの工夫をするとより効果が高まります。
  4. つけ置き後、衣類をもみ洗いし、そのまま洗濯機に入れて他の洗濯物と一緒に通常通り洗濯します。
  5. 洗濯後は、風通しの良い場所で天日干しし、完全に乾燥させます。

※塩素系漂白剤は漂白力が強い反面、色柄物を脱色させたり、生地を傷めたりするリスクが非常に高いです。白い綿素材の衣類以外での使用は避けるのが賢明です。

5.2 落ちないカビはクリーニングのプロに相談

家庭での対処法を試してもカビが落ちない場合や、デリケートな素材、高価な衣類の場合は、無理せずクリーニング店に相談しましょう。

自己判断で強くこすったり、強力な薬品を使ったりすると、生地を傷めたり変色させたりして、取り返しのつかないことになる可能性があります。

クリーニングのプロは、衣類の素材やカビの状態を見極め、専門的な知識と技術、特殊な溶剤やしみ抜き技術を駆使してカビを除去してくれます。家庭では落とせないカビの黒い色素や、嫌なカビ臭さも根本から取り除いてくれることが期待できます。

お店に持ち込む際は、以下の点を伝えるとスムーズです。

  • どの部分に、どのようなカビが生えているか
  • いつ頃から生えていたか
  • 自分で何か対処をしたか(した場合はその内容も)

「カビ取り」や「しみ抜き」といったオプションサービスを利用することで、より高い効果が期待できます。料金や仕上がりまでの期間、カビの状態によっては完全に落ちない可能性もあることを事前に確認しておくと安心です。

6. まとめ

夏の衣類をカビから守るため最も重要なのは、収納前の「洗濯」「乾燥」「収納場所の準備」という3つの手間です。なぜなら、カビの栄養源となる汗や皮脂汚れと、繁殖に不可欠な湿気を、衣類と収納場所から徹底的に取り除くことが、カビの発生を根本から防ぐからです。「一度しか着ていないから」と洗濯せずにしまうのはNG。正しいお手入れで、来シーズンもお気に入りの夏服を気持ちよく着られるようにしましょう。