スーツ・ニット・Tシャツ別｜衣類の型崩れを防ぐハンガーの選び方で大切な3つのポイント
スーツ・ニット・Tシャツ別｜衣類の型崩れを防ぐハンガーの選び方で大切な3つのポイント
お気に入りの服の肩に変な跡がついたり、ニットが伸びてしまったり。その原因は、毎日使っているハンガーかもしれません。この記事を読めば、衣類の型崩れを防ぐハンガー選びの基本となる「厚み・肩幅・素材」の3つのポイントが分かります。スーツやTシャツなど衣類別の最適な選び方からNGな使い方、おすすめブランドまで網羅的に解説。正しい知識で、大切な一着を長くきれいに保ちましょう。
1. 衣類の型崩れはハンガーが原因？正しい選び方の重要性
お気に入りのスーツの肩に変な跡がついていたり、大切にしているニットの首元が伸びてしまったり。「どうしてこんな形に…」と、がっかりした経験はありませんか。その原因、実は毎日何気なく使っている「ハンガー」にあるかもしれません。
衣類は着ている時間よりも、クローゼットの中でハンガーにかかっている時間の方が圧倒的に長いものです。その長い時間、服の重さを支え続けるハンガーが衣類に合っていなければ、少しずつ生地に負担がかかり、型崩れや傷みを引き起こしてしまいます。正しいハンガーを選ぶことは、単なる収納グッズ選びではありません。あなたの大切な衣類を美しく長持ちさせるための、最も簡単で効果的な「投資」なのです。この機会に、ハンガーの重要性を見直してみましょう。
1.1 ハンガーが引き起こす主な衣類のトラブル
不適切なハンガーを使い続けると、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。代表的なトラブルとその原因をまとめました。ご自身のクローゼットと見比べてみてください。
| トラブルの例 | 主な原因となるハンガーの特徴 |
|---|---|
| 肩に「ポコッ」とした跡がつく | ハンガーの肩先の幅が服の肩幅と合っていない。ハンガーの厚みがなく、先端が細すぎる。 |
| 首元や肩周りが伸びてしまう | ニットなど伸縮性のある素材に対し、ハンガーの肩幅が広すぎる。または、滑りやすい素材のハンガーで生地が引っ張られている。 |
| 全体的なシルエットが崩れる | スーツやジャケットなど立体的な作りの服に対し、厚みのない平面的なハンガーを使っている。服の重さに耐えられずハンガーが歪んでいる。 |
| 生地の傷みや毛羽立ち | ハンガーの素材がザラザラしていたり、ささくれがあったりする。金属部分のサビが衣類に付着する。 |
1.2 なぜハンガー選びが衣類の寿命を左右するのか
では、なぜハンガー一つでこれほどまでに衣類の状態が変わってしまうのでしょうか。その理由は、衣類が保管されている間の「重力」のかかり方にあります。
人間の肩は、首から腕にかけてなだらかな曲線を描いています。高級なスーツやコートは、この人体の曲線に合わせて立体的に作られています。しかし、多くの安価なハンガーは、厚みのない平面的な形状をしています。このようなハンガーに立体的な衣類をかけると、本来分散されるべき服の重みが、ハンガーと接する肩先の狭い範囲に集中してしまいます。
この状態が長時間続くと、生地はその形で癖がつき、型崩れとなって現れます。特に、重さのある冬物のコートや、繊細な作りのジャケットほどその影響は顕著です。正しいハンガーは、衣類の重さを広い面で均等に支え、まるで人が着ているかのような自然な状態をキープしてくれます。これにより、生地への負担を最小限に抑え、衣類本来の美しいシルエットと寿命を守ることができるのです。
2. 【基本】衣類の型崩れを防ぐハンガーの選び方 3つのポイント
大切な衣類を長く愛用するためには、ハンガー選びが非常に重要です。なんとなく選んだハンガーが、実は型崩れや生地の傷みの原因になっているかもしれません。ここでは、どんな衣類にも共通するハンガー選びの基本的な3つのポイントを詳しく解説します。この3点を押さえるだけで、あなたのクローゼットは衣類にとって最適な環境に変わります。
2.1 ポイント1 肩のラインに合う「厚み」で選ぶ
ハンガーの「厚み」は、衣類の重さを支え、特に肩周りの立体的なフォルムを維持するために最も重要な要素です。衣類の重さや構造に合わない厚みのハンガーを使うと、重力に負けて生地が伸びたり、不自然な跡がついたりする原因となります。
例えば、重厚なウールコートを薄いハンガーにかけると、ハンガーが衣類の重さに耐えきれず、肩の部分にだけ負荷が集中してしまいます。逆に、薄手のTシャツに分厚いハンガーを使うと、肩先が不自然に伸びてしまうこともあります。衣類の重さと肩の作りに合わせてハンガーの厚みを選ぶことが、型崩れを防ぐ第一歩です。
| ハンガーの厚み | 推奨される衣類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 厚い（3cm以上） | スーツ、ジャケット、コートなど | 肩のラインに沿った立体的な形状で、衣類の重さを面で支える。特に肩パッドの入った衣類の型崩れを強力に防ぐ。 |
| 普通（1cm〜3cm） | ニット、セーター、カーディガン、シャツなど | 日常的に使う多くの衣類に対応可能。適度な厚みが肩への負担を軽減し、収納スペースも確保しやすいバランス型。 |
| 薄い（1cm未満） | Tシャツ、カットソー、ブラウス、キャミソールなど | 軽量な衣類に適している。クローゼットの収納力を最大限に引き出し、スペースを有効活用したい場合に最適。 |
2.2 ポイント2 服のサイズに合う「肩幅」で選ぶ
ハンガーの「肩幅」が衣類のサイズと合っていないと、肩先に「ポコッ」とした跡がついたり、逆にハンガーからずり落ちたりする原因になります。特にニットやTシャツのような柔らかい素材は、跡がつきやすいため注意が必要です。
最適なハンガー幅の目安は、実際に着る衣類の肩幅よりも2cmから4cm程度短いものとされています。ハンガーの端が、肩の縫い目の少し内側に来るのが理想的な状態です。これにより、袖の付け根部分までしっかりと支えつつ、肩先への不要な圧力を避けることができます。
ご自身の服の肩幅を測る際は、平らな場所に置き、左右の肩の縫い目から縫い目までを直線で測ってください。その数値から2〜4cm引いたものが、あなたにとって最適なハンガーのサイズです。
| 性別 | 服のサイズ | 推奨ハンガー幅 |
|---|---|---|
| レディース | S (7〜9号) | 36cm〜38cm |
| M (9〜11号) | 38cm〜40cm | |
| L (11号〜) | 40cm〜 | |
| メンズ | S〜M | 40cm〜43cm |
| M〜L | 43cm〜45cm | |
| L〜LL | 45cm〜 |
※上記はあくまで目安です。お持ちの衣類のデザインやブランドによって肩幅は異なるため、実際に計測して選ぶことをおすすめします。
2.3 ポイント3 用途と衣類に合う「素材」で選ぶ
ハンガーの素材は、機能性、耐久性、そしてクローゼットの見た目に大きく影響します。それぞれの素材にメリット・デメリットがあるため、用途や衣類との相性を考えて選ぶことが大切です。
例えば、滑りやすいシルクのブラウスには滑り止め加工が施されたハンガー、お気に入りのスーツには高級感と調湿効果が期待できる木製ハンガー、洗濯物を干してそのまま収納したい場合は水に強いプラスチック製ハンガーなど、保管したい衣類の種類と、クローゼットの環境に合わせて最適な素材を選ぶことで、より快適な衣類管理が実現します。
| 素材 | メリット | デメリット | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 木製 | ・高級感があり、見た目が良い ・耐久性が高い ・静電気が起きにくい ・（種類により）調湿・防虫効果がある |
・価格が高い ・重さがあり、かさばる ・水濡れに弱い |
スーツ、ジャケット、コートなど、型崩れさせたくない大切な衣類 |
| プラスチック製 | ・安価で手に入りやすい ・軽量で扱いやすい ・水に強く、洗濯用に使える |
・耐久性が低く、劣化しやすい ・静電気が起きやすい ・重い衣類には不向きな場合がある |
Tシャツ、シャツ、ブラウスなど日常的な衣類、洗濯物干し |
| スチール・ステンレス製 | ・スリムで省スペース ・スタイリッシュなデザイン ・耐久性が高く、錆びにくい（ステンレス） |
・滑りやすい ・重い衣類をかけると変形することがある ・衣類との摩擦で傷める可能性 |
Yシャツ、ブラウスなど軽量な衣類、クローゼットの統一感を出したい場合 |
| 起毛・特殊コーティング | ・滑り止め効果が非常に高い ・スリムなデザインが多い |
・ホコリが付着しやすい ・衣類の出し入れがしにくい場合がある |
ニット、セーター、キャミソール、シルク素材など滑りやすい衣類全般 |
3. 【衣類別】型崩れを防ぐ最適なハンガーの選び方
ハンガー選びの3つの基本ポイントを踏まえ、ここでは衣類の種類ごとに最適なハンガーの選び方を詳しく解説します。大切な一着を長く愛用するために、それぞれの衣類が持つ特徴に合わせたハンガーを選びましょう。
3.1 スーツ・ジャケットに最適なハンガーの選び方
ビジネスやフォーマルな場面で着用するスーツやジャケットは、美しいシルエットが命です。特に肩から胸にかけての立体的な作りを維持するためには、専用のハンガーが欠かせません。
スーツ・ジャケットの型崩れを防ぐには、人間の肩の厚みや丸みに近い、立体的な形状のハンガーを選ぶことが最も重要です。安価な針金ハンガーや薄いプラスチックハンガーでは、ジャケットの重みで肩周りが崩れ、型崩れやシワの原因となってしまいます。
| チェックポイント | 選び方の詳細 |
|---|---|
| 肩の厚み | 肩先の厚みが3cm〜5cm程度あるものを選びましょう。この厚みがジャケットの肩部分を内側からしっかりと支え、自然な丸みをキープします。 |
| 形状 | 前方へ緩やかにカーブした「前肩そり」と呼ばれる形状が理想的です。これにより、スーツの命であるラペル（下襟）から胸にかけての立体的なラインを美しく保ちます。 |
| 肩幅 | ジャケットの肩幅（肩の縫い目から縫い目までの直線距離）にジャストフィットするサイズを選びます。ハンガーが大きすぎると肩先に余計な膨らみ（ポッコリ）ができ、小さいと肩が落ちて型崩れします。 |
| 素材 | 吸湿性に優れ、ジャケットの重さに耐えられる木製ハンガーが最適です。ブナやレッドシダーなどの素材は、防虫・消臭効果も期待できます。厚みのあるプラスチック製でも代用可能です。 |
| ボトムスバー | スラックスをセットで保管する場合は、滑り止め加工が施されたフェルトバーや、溝が付いたバーが付いているものを選ぶと、シワにならずに収納できます。 |
3.2 ニット・セーターの型崩れを防ぐハンガーの選び方
デリケートで伸縮性のあるニットやセーターは、ハンガー選びを間違えると自重で伸びてしまったり、肩にハンガーの跡がくっきりと付いてしまったりと、最も型崩れしやすい衣類の一つです。基本的には畳んで保管するのが最も安全ですが、クローゼットのスペース上ハンガーに掛けたい場合は、選び方と掛け方に工夫が必要です。
ニット・セーター用のハンガーは、いかに肩への負担を分散させ、滑り落ちを防ぐかがポイントになります。
| チェックポイント | 選び方の詳細 |
|---|---|
| 形状 | 肩先に角がなく、全体がなだらかな曲線を描くアーチ型（三日月型）のハンガーを選びましょう。これにより、肩への一点集中を防ぎ、「ポッコリ」とした跡がつくのを防ぎます。 |
| 素材・加工 | ニットの滑りを防ぐため、表面に滑り止め加工が施されているものが必須です。PVC（ポリ塩化ビニル）コーティングや、ベロアのようなフロッキー加工が施されたハンガーがおすすめです。 |
| 厚み | 厚みはあまり必要ありません。むしろ、表面積が広く、なだらかな形状であることが重要です。1cm程度の薄型のものでも、滑り止めと形状が適切であれば問題ありません。 |
また、掛け方を工夫することでも型崩れは大幅に防げます。ニットを縦に二つ折りにし、ハンガーのフック部分を脇の下にあてがいます。そして、身頃と袖をそれぞれハンガーのバーにまたがせるように掛ける「二つ折り掛け」を試してみてください。この方法なら、肩に負担がかからず、丈の長いニットが伸びてしまうのも防げます。
3.3 Tシャツ・カットソーに跡をつけないハンガーの選び方
普段使いのTシャツやカットソーも、ハンガーによっては首元がヨレたり、肩に跡がついたりします。特に洗濯後に干す際にハンガーを使う方は、選び方が大切です。
Tシャツで最も避けたいのは、ハンガーの着脱時に襟ぐりを伸ばしてしまうことです。ハンガーにかける際は、必ず衣類の裾側からハンガーを差し込むようにしましょう。この一手間だけで、首元のヨレを劇的に防ぐことができます。
| チェックポイント | 選び方の詳細 |
|---|---|
| 形状 | ニットと同様に、肩のラインが丸みを帯びたアーチ型のハンガーがおすすめです。肩先の尖ったハンガーは跡がつきやすいため避けましょう。 |
| 厚み | 収納効率を考えると、1cm程度の薄型ハンガーで十分です。クローゼット内をスッキリと統一できます。 |
| 素材・加工 | 滑り止め加工がされていると、襟ぐりが広いデザインのカットソーや、シルクなどの滑りやすい素材の服も安心して掛けられます。 |
3.4 その他衣類に合わせたハンガーの選び方
スーツやニット以外にも、専用のハンガーを使うことで、より良い状態で衣類を保管できるものがあります。
3.4.1 シャツ・ブラウス用ハンガー
アイロンがけしたYシャツやブラウスの美しい状態をキープするには、襟元の形が重要です。第一ボタンを留めても襟が潰れないよう、首周りに適度な厚みと立ち上がりがあるハンガーが理想的です。厚みは1cm～2cm程度のスリムなタイプで十分ですが、肩幅は必ずシャツのサイズに合わせましょう。
3.4.2 コート用ハンガー
冬物のウールコートやダウンジャケットなど、重量のあるアウターには、その重さに耐えられる頑丈なハンガーが必要です。スーツ用と同様に、肩の厚みが4cm以上ある、しっかりとした作りの木製または厚手のプラスチック製ハンガーを選びましょう。華奢なハンガーでは、長期間の保管中にコートの重みでハンガーが歪み、衣類の型崩れにつながります。
3.4.3 スラックス・スカート用ハンガー
ボトムスは、シワを防ぎ、すっきりと収納できる専用ハンガーが便利です。
| 種類 | 特徴と選び方 |
|---|---|
| スラックスハンガー（バータイプ） | 二つ折りにしてバーに掛けるタイプ。センタープレスをきれいに保ちたいスラックスに最適です。バー部分に滑り止め加工がされているか必ず確認しましょう。省スペースで収納できるスリムなデザインが人気です。 |
| クリップハンガー | ウエスト部分をクリップで挟んで吊るすタイプ。スラックスにもスカートにも使えます。クリップの位置を左右に動かせるものを選ぶと、様々なウエストサイズのボトムスに対応できて便利です。デリケートな素材を傷つけないよう、クリップの内側にゴムやフェルトなどの保護材が付いているものがおすすめです。 |
このように、それぞれの衣類に最適なハンガーを選ぶことで、型崩れやシワを防ぎ、お気に入りの服を常にベストな状態で保つことができます。
4. これはNG！衣類を傷めるハンガーの選び方と使い方
お気に入りの衣類を長く大切に着るためには、適切なハンガーを選ぶだけでなく、避けるべき「NGな選び方・使い方」を知ることも非常に重要です。知らず知らずのうちに衣類を傷めてしまっているかもしれません。ここでは、衣類の寿命を縮めてしまう可能性のある、代表的な3つのNGパターンとその対策を詳しく解説します。
4.1 クリーニング店の針金ハンガーは保管に使わない
クリーニングから戻ってきた衣類にかかっている細い針金ハンガー。そのままクローゼットに収納している方も多いのではないでしょうか。しかし、クリーニング店の針金ハンガーは、あくまで店舗から自宅まで運ぶための「一時的なもの」であり、長期間の保管には絶対に向いていません。
針金ハンガーをそのまま使い続けると、次のようなトラブルの原因となります。
- 肩の型崩れ：ハンガーが細すぎるため、衣類の重さが肩の小さな一点に集中してしまいます。その結果、肩先に「ポコッ」とした跡がつき、一度つくとなかなか取れません。特にニットやTシャツのような柔らかい素材では顕著です。
- 全体のシルエット崩れ：スーツやコートのような重い衣類の場合、その重さにハンガーが耐えきれずに変形してしまいます。歪んだハンガーにかけ続けることで、衣類全体の美しいシルエットが損なわれてしまいます。
- サビや色移り：金属製の針金ハンガーは、クローゼット内の湿気によって錆びることがあります。そのサビが衣類に付着すると、シミになって取れなくなる可能性があります。
大切な衣類を守るためにも、クリーニングから戻ってきたら、すぐにその衣類に合った専用のハンガーに移し替えることを習慣にしましょう。
4.2 服のサイズと合わないハンガーは型崩れの原因に
前の章でも解説した通り、ハンガーの肩幅と衣類のサイズを合わせることは非常に重要です。サイズが合わないハンガーを使い続けると、衣類は確実に型崩れを起こします。特に、ハンガーが「小さすぎる」場合と「大きすぎる」場合では、異なる問題が発生します。
| ハンガーのサイズ | 発生する問題 | 影響を受けやすい衣類 |
|---|---|---|
| 小さすぎる場合 | 衣類の肩がハンガーから滑り落ち、袖の付け根あたりで支える形になります。これにより、肩周りが伸びてしまったり、不自然なシワがついたりする原因となります。 | Tシャツ、ニット、ブラウスなど |
| 大きすぎる場合 | ハンガーの先端が衣類の肩先を内側から押し広げてしまい、肩から袖にかけての部分が不自然に伸びてしまいます。肩にくっきりとした「ハンガー跡」が残る最も大きな原因です。 | ジャケット、シャツ、コートなど |
ご自身の衣類の肩幅（肩の縫い目から縫い目までの直線距離）を一度測ってみて、それに合ったサイズのハンガーを選ぶことが大切です。特に、家族でハンガーを共有している場合は注意が必要です。男性用の大きなハンガーに女性用の小さなブラウスをかける、といったことがないように気をつけましょう。
4.3 濡れた衣類をそのままかけるのは避ける
洗濯後の濡れた衣類や、雨で濡れたコートなどを、そのまま保管用のハンガーにかけて乾かそうとするのは絶対に避けてください。水分を含んだ衣類は通常時よりも重くなっており、そのままかけると様々な問題を引き起こします。
- 深刻な型崩れ：水分の重みで生地全体が下に強く引っ張られます。特にニットやカットソーなどの伸縮性のある素材は、着丈や肩周りが著しく伸びてしまい、元に戻らなくなってしまう可能性があります。
- ハンガーと衣類の劣化：木製ハンガーは水分を吸ってしまい、カビの発生や変形、ニスが溶けて衣類に付着する原因となります。スチール製のハンガーはサビを発生させ、衣類に茶色いシミをつけてしまう恐れがあります。
- 雑菌の繁殖と悪臭：風通しが悪いクローゼット内などで濡れた衣類を干すと、生乾きの状態が長く続き、雑菌が繁殖して嫌な臭いの原因になります。
洗濯物を干す際は、型崩れしにくい洗濯専用のハンガー（太さのあるものやアーチ状のもの）を使用し、風通しの良い場所で完全に乾かしてからクローゼットにしまいましょう。ニット類は伸びやすいため、平干しするのが最も安全です。外出先で雨に濡れたコートなども、すぐに収納せず、まずはリビングなどでしっかり乾かす一手間が、衣類を長持ちさせる秘訣です。
5. 衣類の型崩れを防ぐおすすめハンガーブランド
ここまでハンガーの選び方のポイントを解説してきましたが、実際にどのブランドを選べば良いか迷う方も多いでしょう。ここでは、機能性、コストパフォーマンス、品質といった異なる視点から、衣類の型崩れ防止に定評のあるおすすめのハンガーブランドを3つ厳選してご紹介します。それぞれの特徴を比較し、あなたのライフスタイルや大切な衣類にぴったりのハンガーを見つけてください。
5.1 【滑らない機能性】MAWA（マワ）ハンガー
ドイツで生まれたMAWA（マワ）ハンガーは、特殊なノンスリップコーティングによる「滑りにくさ」が最大の特徴です。ニットやセーター、シルクのブラウス、キャミソールといった滑りやすい素材の衣類も、ずり落ちることなくしっかりとキープします。また、非常にスリムな設計のため、限られたクローゼットのスペースを有効活用し、収納力を大幅にアップできる点も大きな魅力です。豊富なラインナップの中から、衣類に合わせて最適な形状を選べます。
MAWAハンガーは、その機能性の高さから世界中で愛用されており、大切な衣類を長く美しく保ちたい方に最初におすすめしたいブランドです。正規代理店のウェブサイトでは、詳細な商品情報や選び方を確認できます。（参考: MAWAハンガー公式サイト | 青山貿易）
| モデル名 | 特徴 | おすすめの衣類 |
|---|---|---|
| エコノミック | 肩先の丸みを帯びた形状が特徴。ニットなどに跡がつきにくい。最も人気の定番モデル。 | ニット、セーター、カーディガン、Tシャツ |
| シルエット | 襟周りがすっきり見える直線的なデザイン。スリムで省スペース性に優れる。 | シャツ、ブラウス、キャミソール |
| ボディーフォーム | 肩先に厚みを持たせた立体的な形状。ジャケットやコートの型崩れをしっかり防ぐ。 | スーツ、ジャケット、コート |
| パンツシングル | ズボンを折り畳まずに掛けられる一本バータイプ。シワを防ぎ、取り出しやすい。 | スラックス、パンツ |
5.2 【高コスパ】無印良品・ニトリのハンガー
「まずは手頃な価格でハンガーを揃えたい」「クローゼット内を手軽に統一したい」という方には、無印良品やニトリのハンガーが最適です。優れたコストパフォーマンスと、全国の店舗で手軽に入手できる利便性が魅力です。
無印良品のハンガーは、シンプルで無駄のないデザインが特徴です。特に「アルミハンガー」シリーズは、軽量で錆びにくく、肩のラインがなだらかなためTシャツやシャツに最適。また、「レッドシダーハンガー」は、天然木の香りで防虫・消臭効果が期待でき、スーツやコートの保管におすすめです。
一方、ニトリは「お、ねだん以上。」のキャッチコピー通り、機能性と価格のバランスに優れた製品が豊富です。特に「すべりにくいアーチ型ハンガー」は、MAWAハンガーのような機能性を持ちながら非常に安価で、ニットやデリケートな衣類に跡をつけずに掛けられると人気を集めています。
| ブランド | 代表的な商品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 無印良品 | アルミ洗濯用ハンガー | 軽量で錆びにくく、シンプルなデザイン。肩のラインがなだらかで跡がつきにくい。 |
| 無印良品 | レッドシダー薄型ハンガー | 防虫・芳香効果のあるレッドシダー材を使用。大切な衣類の保管に最適。 |
| ニトリ | すべりにくいアーチ型ハンガー | 起毛素材で衣類が滑りにくく、アーチ状のフォルムが肩のラインにフィットする。 |
| ニトリ | 木製ハンガー | 温かみのある木製でありながら手頃な価格。クローゼットに統一感を出せる。 |
5.3 【本格木製】中田工芸（NAKATA HANGER）
「大切な一着を、最高の状態で保管したい」と考えるなら、兵庫県豊岡市に本社を置く日本唯一の木製ハンガー専門メーカー、中田工芸（NAKATA HANGER）が究極の選択肢となります。国内外の高級アパレルブランドや一流ホテルで採用されている実績が、その品質の高さを物語っています。
NAKATA HANGERの最大の特長は、熟練の職人が一点一点手作業で仕上げる、人体工学に基づいた立体的なフォルムです。特にスーツやジャケット用のハンガーは、肩から胸にかけての厚みが人間の身体のラインを忠実に再現しており、衣類の重みを分散させて型崩れを完璧に防ぎます。上質なブナ材を使用し、丁寧に磨き上げられた滑らかな手触りは、単なる収納道具ではなく、衣類への愛情を表現する工芸品と言えるでしょう。価格は高価ですが、服の寿命を延ばし、常に美しいシルエットを保つための「投資」として、その価値は十分にあります。名入れサービスもあり、大切な方への贈り物としても最適です。
| シリーズ名（品番例） | 特徴 | 最適な衣類 |
|---|---|---|
| メンズ ジャケット・スーツ用 (AUT-05) | 厚みのある立体的な形状で、肩周りのラインを美しく保つ。ブランドのフラッグシップモデル。 | メンズスーツ、ジャケット、重衣料コート |
| レディス ジャケット・シャツ用 (SET-01) | 女性の肩のラインに合わせて設計された、やや小ぶりで丸みのあるフォルム。 | レディスジャケット、ブラウス、ワンピース |
| シャツ用 (SET-15) | 適度な厚みとカーブで、シャツの襟元や肩のラインを崩さずに保管できる。 | ドレスシャツ、カジュアルシャツ |
6. まとめ
大切な衣類の型崩れを防ぐには、ハンガー選びが極めて重要です。衣類の型崩れの多くは、合わないハンガーを使い続けることが原因です。ハンガーを選ぶ際は「厚み」「肩幅」「素材」の3つの基本ポイントを押さえ、スーツやニット、Tシャツといった衣類の種類に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。この記事を参考に、クリーニング店の針金ハンガーを使い続けるなどのNGな使い方をやめ、ご自身のクローゼットを見直し、衣類を長持ちさせる一本を見つけてみてください。
