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台風前にすべき「洗濯備え」って?いつから始める?プロが教える計画的な洗濯術

台風前にすべき「洗濯備え」って?いつから始める?プロが教える計画的な洗濯術

台風が近づくと気になるのが洗濯の問題。この記事を読めば、台風到着の3日前から始める計画的な洗濯術や、嫌な部屋干し臭を防ぐコツ、万が一の停電・断水時の対策まで具体的にわかります。結論として「洗濯備え」は、ライフラインが止まるリスクや、長雨で洗濯物が乾かないストレスを回避し、台風の期間を安心して過ごすために不可欠です。計画的な準備で、洗濯の悩みをスッキリ解決しましょう。

1. なぜ台風前の「洗濯備え」が重要なのか

台風が近づくと、ニュースでは食料や水の備蓄、窓ガラスの補強などが呼びかけられます。しかし、意外と見落とされがちなのが「洗濯」に関する備えです。台風によって引き起こされる様々な問題は、私たちの日常生活に欠かせない洗濯を困難にし、生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。清潔な衣類やタオルが使えない状況は、想像以上に不便でストレスが溜まるものです。ここでは、なぜ台風前に計画的な「洗濯備え」が必要不可欠なのか、その具体的な理由を2つの大きなリスクから解説します。

1.1 停電や断水で洗濯機が使えなくなるリスク

台風の強風や大雨は、電線や水道管といったライフラインに深刻なダメージを与えることがあります。その結果として発生する停電や断水は、洗濯機をただの「箱」に変えてしまう最大のリスクです。

まず、停電が発生すると、洗濯機や衣類乾燥機は一切作動しなくなります。特に、近年普及しているドラム式洗濯乾燥機や浴室乾燥機など、便利な機能に頼っているご家庭ほど、その影響は甚大です。さらに、マンションなど集合住宅の場合は、停電によって給水ポンプが停止し、断水につながるケースも少なくありません。

断水が起これば、たとえ電気が復旧しても洗濯機は使えません。もちろん、手洗いしようにも、貴重な水を洗濯に使うことはためらわれるでしょう。災害時には、飲料水はもちろん、トイレを流したり体を拭いたりするための生活用水の確保が最優先となるため、洗濯は後回しにせざるを得なくなります。

過去の大規模な台風では、数日間から長い場合は1週間以上にわたって停電や断水が続いた事例も報告されています。内閣府の防災情報ページでも、日頃からの備えとしてライフライン停止への対策が呼びかけられています。(参考: 内閣府 防災情報のページ)

このように、台風によるインフラの停止は、ある日突然、洗濯という行為そのものを不可能にしてしまう可能性があるのです。

ライフラインの障害 洗濯に与える直接的な影響 二次的な影響
停電 洗濯機、乾燥機、浴室乾燥機がすべて使用不可になる。 給水ポンプが停止し、断水を引き起こすことがある。コインランドリーも営業停止の可能性がある。
断水 洗濯機が給水できず使用不可になる。手洗いも困難になる。 生活用水の確保が優先され、洗濯に水を使える状況ではなくなる。

1.2 長引く雨で洗濯物が乾かない問題

ライフラインが無事だったとしても、もう一つの大きな問題が立ちはだかります。それは、台風接近中から通過後にかけて続く長時間の雨と高い湿度です。

台風が接近すると、数日間にわたって雨が降り続き、外に洗濯物を干すことは不可能になります。必然的に部屋干しを選択することになりますが、窓を開けて換気することもできないため、室内の湿度は急上昇。洗濯物はなかなか乾かず、ジメジメとした不快な状態が続きます。

洗濯物が乾くまでに時間がかかると、衣類に残ったわずかな皮脂汚れや水分をエサにして、「モラクセラ菌」などの雑菌が爆発的に繁殖します。これが、あの不快な「生乾き臭」の主な原因です。一度ついてしまった生乾き臭は、乾いた後も残ることが多く、次に着るときに大きなストレスとなります。

さらに、問題は臭いだけではありません。雑菌が繁殖した湿った衣類を身につけることは衛生的にも好ましくなく、肌トラブルの原因になる可能性も指摘されています。特に、肌の弱い小さなお子さんやご高齢の方がいるご家庭では、より注意が必要です。

「着替えたいのに、乾いている服がない」「使いたいタオルが湿っていて気持ち悪い」といった状況は、単に不便なだけでなく、衛生面や精神面にも悪影響を及ぼす深刻な問題なのです。台風が過ぎ去るまでの数日間を少しでも快適に過ごすためには、この「乾かない問題」を想定した備えが欠かせません。

2. 台風に備える洗濯計画 いつから始めるのがベスト?

「台風が近づいているのはわかるけど、一体いつから洗濯を始めればいいの?」と、タイミングに悩む方は少なくありません。台風の進路や速度は刻一刻と変わるため、ギリギリになって慌てないためには、事前の情報収集と計画的な行動が何よりも重要になります。

ここでは、いつから洗濯の備えを始めるべきか、具体的なタイミングと行動計画を解説します。

2.1 まずは台風情報のこまめなチェックから

洗濯計画を立てる大前提として、信頼できる最新の台風情報を手に入れることが不可欠です。テレビやスマートフォンのアプリも便利ですが、最も正確で詳細な情報は気象庁のウェブサイトで確認できます。

特に注目すべきは以下の3つのポイントです。

  • 台風の進路予報: 自分の住む地域が予報円に入っているかを確認します。
  • 予報円の大きさ: 予報円が大きいほど進路のブレが大きいことを意味します。円の端にかかっている場合でも油断せず、早めの対策を心がけましょう。
  • 暴風域に入る確率: 何日後の何時ごろから天候が悪化し始めるのかを具体的に把握することで、洗濯のタイムリミットが明確になります。

これらの情報を基に、洗濯物を外に干せる最終日を見極めることが、計画的な洗濯備えの第一歩です。

2.2 洗濯備えは台風到着の3日前から始めよう

では、具体的にいつから洗濯を始めるのがベストなのでしょうか。結論から言うと、台風が地域に最接近する予報日の「3日前」から始めるのが理想的です。

なぜ3日前なのでしょうか。それには明確な理由があります。

  • 天候の確保: 3日前であれば、まだ晴天が続いている可能性が高く、大物の洗濯物も太陽光でしっかりと乾かすことができます。
  • 計画的な実行: 1日で全ての洗濯物を終わらせようとすると、洗濯機を何度も回すことになり大変です。3日間あれば、洗濯物の種類ごとに計画的に洗い、干す作業ができます。
  • 予報のズレへの対応: 万が一、台風の速度が上がって到着が早まった場合でも、2日間の猶予があれば慌てずに対処できます。

以下に、台風到着3日前からのモデルプランを表にまとめました。ご家庭の状況に合わせて調整しながら、ぜひ参考にしてください。

台風に備える3日間洗濯スケジュール
タイミング 主な洗濯物 行動のポイント
3日前 (晴天日) シーツ、ベッドパッド、タオルケット、カーテン、ラグマットなど 最も乾きにくい「大物」から洗濯します。天気が良いうちに太陽光で完全に乾かすことで、ダニ対策にもなり衛生的です。
2日前 普段着、おしゃれ着、子ども服、タオル類など 台風通過中から明けた後までを想定し、数日分の衣類や下着、タオルをすべて洗い切ることを目指します。家族の人数分を考慮して計画的に進めましょう。
前日 当日着た服、最後の洗濯物、洗濯槽の掃除 外干しできる最後のチャンスです。少量の洗濯を済ませ、翌日からの部屋干しに備えて洗濯槽クリーナーなどでカビや汚れを掃除しておくと、生乾き臭の予防に繋がります。

このように、3日前から計画的に行動することで、心にも時間にも余裕が生まれます。台風が迫る中で「洗濯物が乾かない!」とストレスを抱えることのないよう、早め早めの行動を心がけましょう。

3. 台風前に済ませておきたい計画的な洗濯術

台風の接近が確実になったら、すぐに洗濯の計画を立てて実行に移しましょう。台風が過ぎ去るまでの数日間、洗濯ができない状況を想定し、逆算して行動することが大切です。ここでは、台風到着の3日前から始める具体的な3つのステップをご紹介します。この手順で進めれば、慌てることなく、安心して台風を迎えられます。

3.1 ステップ1 シーツやタオルケットなど大物の洗濯

まず最初に取り組むべきは、シーツやタオルケット、カーテンといった「大物」の洗濯です。これらは乾くのに時間がかかるため、台風がまだ遠くにあり、日差しが期待できる3日前までに終わらせるのが鉄則です。台風が近づくと湿度が高くなり、外に干せなくなるため、晴天を最大限に活用しましょう。

特に、寝具類は清潔にしておきたいもの。汗や皮脂を吸ったシーツや枕カバーを放置すると、湿度の高い環境で雑菌が繁殖しやすくなります。台風期間中を快適な寝具で過ごすためにも、最優先で洗濯してください。

大物洗濯の計画リスト(例)
洗濯するタイミング 洗濯物の種類 ポイント
台風到着の3日前(晴れの日) シーツ、布団カバー、枕カバー、タオルケット、夏用毛布など 最も乾きにくいものを最優先。天気予報をチェックし、一日で乾かせる量を見極める。
台風到着の3日前~2日前 カーテン(洗えるもの)、バスマット、キッチンマットなど 寝具の次に乾きにくいもの。厚手のものは乾燥に時間がかかるため早めに。

コインランドリーの大型乾燥機を利用するのも一つの手ですが、台風直前は混雑が予想されます。可能な限り、自宅で計画的に済ませておくのが賢明です。

3.2 ステップ2 普段着や下着をすべて洗い切る

大物の洗濯が終わったら、次は普段着や下着、タオル類です。目標は「洗濯カゴを空にすること」。台風の接近に伴う停電や断水で洗濯機が使えなくなる事態に備え、台風が上陸する前日までに、家にある洗い物をすべて洗濯してしまいましょう

これにより、清潔な衣類のストックを十分に確保できます。台風期間中は外出もままならず、蒸し暑さで汗をかくことも多いため、着替えは多めにあると安心です。特に小さなお子さんがいるご家庭では、汚すことも想定して、普段より多くの着替えを準備しておくと心に余裕が生まれます。

目安として、最低でも3日分、可能であれば5日分程度の着替えとタオルを確保しておくと、万が一ライフラインが止まっても落ち着いて対応できます。このステップを完了させておけば、台風通過後の大変な時期に、洗濯物に追われる心配がなくなります。

3.3 ステップ3 洗濯槽の掃除で部屋干しの臭いを防ぐ

すべての洗濯が終わった後、最後の仕上げとして「洗濯槽の掃除」を行いましょう。台風期間中は、洗濯物が乾きにくい「部屋干し」が避けられません。このとき、洗濯槽に潜むカビや雑菌が、あの嫌な「生乾き臭」の主な原因となります。

せっかく衣類をきれいにしても、洗濯槽自体が汚れていては意味がありません。台風に備えて部屋干しが続くと予想される今こそ、洗濯槽をリセットする絶好の機会です。市販の洗濯槽クリーナーを使えば、手軽に掃除ができます。

洗濯槽クリーナーには主に「塩素系」と「酸素系」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご家庭の状況に合わせて選びましょう。

洗濯槽クリーナーの種類と特徴
種類 特徴 メリット デメリット
塩素系 次亜塩素酸ナトリウムが主成分。カビを分解して除去する。 ・強力な殺菌力
・短時間で掃除が終わる
・カビの除去に高い効果
・特有のツンとした臭いがある
・酸性タイプの製品と混ざると有毒ガスが発生する危険性(混ぜるな危険)
酸素系 過炭酸ナトリウムが主成分。発泡する力でカビを剥がし取る。 ・刺激臭が少ない
・衣類や環境に比較的やさしい
・剥がれた汚れが目に見えて効果を実感しやすい
・つけ置きが必要で時間がかかる
・一部のドラム式洗濯機では使用できない場合がある

ご使用の洗濯機によっては、使えるクリーナーの種類やお手入れ方法が指定されている場合があります。掃除を始める前に、必ず取扱説明書を確認するか、パナソニック公式サイトのQ&Aのようなメーカーのウェブサイトで正しい手順を確認してください。このひと手間で、台風期間中の憂鬱な部屋干しを、格段に快適なものに変えることができます。

4. 台風接近中から上陸後の洗濯と部屋干しのコツ

台風が接近・上陸すると、暴風雨で窓を開けられず、洗濯物を外に干すことはできません。必然的に部屋干しとなりますが、多くの方が「生乾きの嫌な臭い」や「なかなか乾かない」といった悩みに直面します。しかし、諦めるのはまだ早いです。ここでは、台風シーズンを快適に乗り切るための、部屋干しの質を格段に上げる洗濯と乾燥のコツを詳しく解説します。

4.1 生乾き臭を防ぐ洗い方の工夫

部屋干しの最大の敵、それは「生乾き臭」です。この不快な臭いの主な原因は、洗濯で落としきれなかった皮脂汚れなどをエサにして、「モラクセラ菌」という雑菌が繁殖することにあります。つまり、干す前の「洗い」の段階で、いかに菌の繁殖を抑えるかが勝負の分かれ目となります。

4.1.1 部屋干し用洗剤や酸素系漂白剤を活用する

普段お使いの洗剤を、この時期だけ部屋干しに特化した製品に変えるだけで、臭いの発生を劇的に抑えることができます。

部屋干し用洗剤には、抗菌・除菌成分が強化配合されているものが多く、菌の増殖を抑制する効果が期待できます。さらに効果を高めたいなら、いつもの洗濯に「酸素系漂白剤」をプラスするのがおすすめです。酸素系漂白剤は、色柄物の衣類にも安心して使えるものが多く、優れた除菌・消臭効果で生乾き臭の原因菌を根本から断ち切ってくれます。

洗剤や漂白剤を選ぶ際は、以下の表を参考にしてみてください。

アイテム 特徴 ワンポイントアドバイス
部屋干し用洗剤 抗菌・除菌成分が強化されており、雑菌の繁殖を抑制する。 液体タイプが主流。製品の指示に従い、適量を守って使用することが大切です。
酸素系漂白剤(液体) 手軽に普段の洗濯に追加できる。穏やかな除菌・消臭効果。 洗剤と一緒に入れて洗うだけ。ウールやシルクなどデリケートな素材にも使えるものが多いです。
酸素系漂白剤(粉末) 液体タイプより洗浄力・除菌力が高い。頑固な臭いや黄ばみに効果的。 40℃〜50℃のお湯に溶かして使うと効果が最大化します。衣類の素材を確認してから使いましょう。

なお、香りの強い柔軟剤で臭いをごまかそうとするのは逆効果になることも。柔軟剤の成分が衣類に残り、かえって雑菌のエサになる場合があるため、まずは洗剤と漂白剤でしっかりと原因菌を取り除くことを優先しましょう。

4.1.2 脱水時間を少し長めに設定する

洗濯物に残る水分量が多ければ多いほど、乾くまでに時間がかかり、雑菌が繁殖しやすくなります。そこで試したいのが、洗濯機の脱水時間を普段より少し長めに設定するというシンプルな方法です。例えば、いつもより3分〜5分長くするだけでも、衣類が含む水分量を大きく減らすことができます。

ただし、ニットやおしゃれ着など、デリケートな素材は生地を傷めたり、強いシワの原因になったりする可能性があります。必ず洗濯表示を確認し、素材に合わせて調整してください。タオルや綿素材の普段着など、比較的丈夫な衣類から試してみるのがおすすめです。

4.2 洗濯物を早く乾かす効率的な干し方

洗い方で菌の対策をしたら、次は「干し方」の工夫で乾燥時間を一気に短縮させましょう。部屋干しで最も重要なのは、いかにして「空気の通り道」を作り、効率よく湿気を飛ばすかです。いくつかのテクニックを組み合わせることで、乾燥効率は飛躍的に向上します。

4.2.1 アーチ干しで空気の通り道を作る

洗濯物を干す際に、ぜひ実践してほしいのが「アーチ干し」です。これは、物干し竿やハンガーラックの両端に丈の長い衣類(ズボン、バスタオルなど)を、中央に向かうにつれて丈の短い衣類(Tシャツ、下着、靴下など)を干す方法です。

洗濯物をアーチ状に配置することで、洗濯物の下に空間が生まれ、空気の自然な対流が起こりやすくなります。この空気の流れが、洗濯物全体の湿気を効率よく運び去ってくれるのです。ライオン株式会社の調査によると、このアーチ干しは、まっすぐ並べて干すよりも約30分早く乾くというデータもあります。

アーチ干しと合わせて、以下のテクニックも活用するとさらに効果的です。

干し方テクニック 方法と効果
間隔を空ける 洗濯物同士の間隔を「こぶし1つ分」以上空けます。これにより風が通りやすくなり、乾燥ムラを防ぎます。
蛇腹(じゃばら)干し バスタオルやシーツなどの大物は、ピンチハンガーなどを使って蛇腹状に干します。空気に触れる面積が増え、格段に早く乾きます。
筒干し パーカーのフード部分や、ズボンのウエスト部分をピンチで留めて筒状に干します。内側にも空気が通り、乾きにくい部分を集中ケアできます。

4.2.2 エアコンやサーキュレーターで風を当てる

空気の流れを人工的に作り出すことで、乾燥時間は劇的に短縮できます。扇風機やサーキュレーターの風を洗濯物に直接当てるのが最も効果的です。その際、首振り機能を使って、まんべんなく風が行き渡るようにしましょう。洗濯物の下から上に風を送ると、湿気を含んだ重い空気が上昇し、効率よく乾燥が進みます。

エアコンを使用する場合は、「除湿(ドライ)」モードが最適です。部屋の湿度そのものを下げてくれるため、洗濯物が乾きやすい環境を強制的に作り出せます。電気代が気になる場合は、タイマー機能を活用して、最初の2〜3時間だけ集中的に運転するだけでも大きな効果があります。

4.2.3 浴室乾燥機や除湿機をフル活用する

もしご自宅に設備があるなら、これらを活用しない手はありません。これらは部屋干しのための最強のパートナーです。

  • 浴室乾燥機: 狭く密閉された浴室は、洗濯物を乾かすのに最適な空間です。乾燥機能を使えば、天日干しに近い状態でスピーディーに乾かすことができます。使用する際は、換気扇も同時に回すと、湿気の排出がスムーズになり、さらに効率がアップします。
  • 除湿機: リビングなど広い空間で干す場合に絶大な効果を発揮します。洗濯物の真下に除湿機を設置し、風向を洗濯物に向けることで、乾燥スピードが格段に向上します。特に、気温が低い時期でもパワフルに除湿できる「デシカント式」の除湿機は、秋の台風シーズンにも心強い味方です。

これらの家電を賢く使うことで、台風で外に干せない期間も、洗濯物を溜め込むことなく快適に過ごすことができます。洗い方と干し方の両面から対策し、計画的に洗濯を進めましょう。

5. もしもの停電や断水に備える洗濯対策

台風の規模や進路によっては、ライフラインである電気や水道が止まってしまう可能性があります。計画的に洗濯を済ませていても、着替えは毎日発生するもの。特に小さなお子様がいるご家庭では、汚れた衣類の洗濯は待ったなしの課題です。ここでは、万が一の停電や断水に備え、知っておきたい洗濯のアイデアと対策をご紹介します。

5.1 浴槽に水を溜めて生活用水を確保

断水に備えて、台風が接近する予報が出たら、浴槽に水を溜めておくことを強く推奨します。この水は、飲み水には適しませんが、トイレを流したり、体を拭いたり、そして少量の洗濯をしたりするための貴重な「生活用水」として役立ちます。

水を溜めるタイミングは、台風の接近が確実となり、自治体から避難準備情報などが出始めた頃が目安です。満水にしておけば、いざという時の安心感が大きく異なります。ただし、小さなお子様やペットがいるご家庭では、溺れる事故を防ぐため、必ず浴槽にフタをし、浴室のドアは固く閉めておくなどの安全対策を徹底してください。

5.2 ビニール袋を使った手洗いの方法

停電や断水時でも、最小限の水で衛生的に洗濯ができる方法が「ビニール袋洗濯」です。これは、防災の知恵としても知られており、警視庁警備部災害対策課も推奨する方法です。特に下着や靴下、タオルなど、少量の小物を洗いたい時に非常に役立ちます。

【ビニール袋を使った洗濯の手順】

  1. 大きめのポリ袋(45Lのゴミ袋など、厚手で丈夫なものが望ましい)を2枚重ねて強度を上げます。
  2. 袋の中に、洗濯物(Tシャツなら1〜2枚程度)と、少量の水またはお湯、そして液体洗剤を数滴入れます。
  3. 袋の中の空気をできるだけ抜き、口をしっかりと縛ります。
  4. 袋の上から、洗濯物を揉むようにして約10分間洗います。こうすることで、少ない水でも洗剤が繊維の奥まで浸透し、汚れを効果的に落とせます。
  5. 洗い終わったら汚れた水を捨て、新しい水(または溜めておいた生活用水)を少量入れて、同じように揉み洗いですすぎます。このすすぎを2〜3回繰り返します。
  6. 最後に、乾いたタオルに洗濯物を挟んで水分を吸い取る「タオル脱水」を行えば、乾燥時間を短縮できます。

この方法は、断水時でも貴重な水を節約しながら、最低限の洗濯ができる非常に有効な手段です。ぜひ覚えておきましょう。

参考: 警視庁 災害対策課「災害時に役立つ情報」

5.3 台風通過後のコインランドリー活用術

台風が過ぎ去った後、自宅の電気がまだ復旧していなかったり、溜まった大量の洗濯物を一気に片付けたかったりする場合には、コインランドリーが救世主となります。特に、家庭用洗濯機では乾かしにくいシーツや毛布なども、業務用の大型乾燥機なら短時間でふんわりと乾かすことができます。

ただし、台風通過後は多くの人が同じように考えるため、コインランドリーは大変混雑します。利用する際は、いくつかのポイントを押さえておくとスムーズです。

  • 事前の情報収集: 自宅周辺のコインランドリーの場所を事前に複数リストアップしておきましょう。台風通過後、停電していないか、営業しているかを電話や公式サイトで確認してから向かうのが賢明です。
  • 空いている時間を狙う: 可能であれば、早朝や深夜など、比較的利用者が少ない時間帯を狙うと待ち時間を短縮できます。
  • 準備を万全に: 洗濯物を大きな袋にまとめておき、必要な小銭(100円玉や500円玉)や、店舗によっては洗剤・柔軟剤も持参するとスムーズです。

コインランドリーでは、一度に多くの洗濯物を処理できますが、素材によっては洗濯や乾燥ができないものもあります。必ず衣類の洗濯表示を確認しましょう。

種類 コインランドリーでの取り扱い可否と注意点
一般的な衣類・タオル ◎ ほとんどのものが洗濯・乾燥可能です。ガス式の高温乾燥で、生乾き臭の原因菌を死滅させ、カラッと仕上げることができます。
シーツ・毛布・布団 ○ 素材によります。綿やポリエステルのものは可能ですが、キルティング加工されていない布団や、羽毛布団、ウール毛布は注意が必要です。洗濯表示を必ず確認し、対応する大型の洗濯乾燥機を選びましょう。
デリケートな衣類 △ ウール、シルク、装飾の多い衣類、革製品などは、縮みや傷みの原因となるため基本的にNGです。クリーニングに出しましょう。
防水・撥水加工の衣類 × レインコートやスキーウェアなど、水を通さない衣類は、洗濯機や乾燥機の故障の原因となるため、使用が禁止されている場合がほとんどです。

台風という非常事態においては、こうした外部サービスを上手に活用することも、生活を維持するための重要な「備え」の一つです。

6. まとめ

台風接近時は、停電や断水、長雨によって洗濯が困難になるため、事前の「洗濯備え」が非常に重要です。台風が到着する3日前を目安に、シーツなどの大物から普段着まで計画的に洗濯を済ませましょう。また、部屋干しによる生乾き臭を防ぐため、洗濯槽の掃除や酸素系漂白剤の活用、アーチ干しといった工夫も有効です。万が一の事態に備えて生活用水を確保しておくことも大切です。事前の準備を万全に整え、落ち着いて台風を乗り切りましょう。