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ゲレンデで後悔する前に!スキーウェアの「撥水性」と「カビ」、シーズン前に確認すべき必須ポイント

ゲレンデで後悔する前に!スキーウェアの「撥水性」と「カビ」、シーズン前に確認すべき必須ポイント

いざゲレンデへ!とクローゼットから出したスキーウェア、そのままで本当に大丈夫ですか?シーズン前のメンテナンスを怠ると、雪や雨が染み込んで体が冷えたり、嫌なカビ臭で気分が台無しになったりする可能性があります。この記事では、シーズンインを万全の状態で迎えるために必須となる「撥水性」と「カビ」のセルフチェック方法を具体的に解説します。さらに、ご家庭でできる撥水性の回復手順、専用洗剤や撥水スプレーの正しい使い方、見つけてしまったカビの安全な除去方法とNG対処法、そして来シーズンも安心な正しい保管術まで、スキーウェアを長持ちさせ、冬を快適に楽しむための知識を網羅的にご紹介。ゲレンデで後悔しないために、まずはご自身のウェアの状態を正しく把握することから始めましょう。

1. シーズン前にスキーウェアの撥水性とカビの確認が必須な理由

待ちに待ったスキーシーズンを心ゆくまで楽しむためには、板やブーツだけでなく、スキーウェアのコンディションを整えておくことが極めて重要です。特に、長期間クローゼットに保管していたウェアは、「撥水性」の低下と「カビ」の発生という2大トラブルを抱えている可能性があります。これらをシーズン前に確認・対処しておくことは、単に見た目の問題だけでなく、「快適性」「安全性」「経済性」の3つの観点から必須と言えるのです。

1.1 快適性:ゲレンдеでのパフォーマンスを左右する「撥水性」

スキーウェアに求められる最も重要な機能の一つが、雪や水を弾く「撥水性」です。 この性能が低下すると、ゲレンデで様々な不快な状況を引き起こします。

撥水性が失われたウェアは、表面に付着した雪が溶けて水分となり、生地に染み込んでしまいます。水分を含んだウェアはずっしりと重くなり、滑走時のパフォーマンスを著しく低下させるでしょう。さらに、生地が濡れることでウェア内部の湿気を外に逃がす「透湿性」も損なわれます。 運動によってかいた汗が放出されず、ウェア内が蒸れてしまい、汗冷えによる不快感と体温低下を招く原因となります。 シーズン前のチェックとメンテナンスで撥水性を維持することは、一日中ドライで快適な状態を保ち、スキーやスノーボードに集中するために不可欠なのです。

1.2 安全性:体温低下や健康被害を防ぐための重要チェック

シーズン前の確認を怠ることは、時に深刻なリスクに繋がります。特に、安全性に関わる問題は見過ごすことができません。

1.2.1 濡れが引き起こす「低体温症」のリスク

撥水性が低下したウェアが濡れると、気化熱によって急激に体温が奪われます。 これは、特に気温の低い日や吹雪いている状況では非常に危険です。体温が著しく低下すると「低体温症」に陥る可能性があり、判断力の低下や体の震えといった症状から、最悪の場合は命に関わる事態にもなりかねません。ゲレンデでの安全を確保するためにも、ウェアの撥水機能の維持は絶対条件です。

1.2.2 カビが引き起こすアレルギーや呼吸器系疾患

オフシーズンの保管中に、ウェアに残った汗や皮脂汚れと湿気が原因でカビが発生することがあります。 カビが生えたウェアを着用すると、その胞子を吸い込んでしまい、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。くしゃみや鼻水、咳といった症状だけでなく、喘息などの持病を持つ人にとっては、症状を悪化させる深刻な健康被害に繋がる恐れがあるため、特に注意が必要です。

1.3 経済性:スキーウェアを長持ちさせるためのメンテナンス

スキーウェアは決して安い買い物ではありません。だからこそ、適切なメンテナンスを行い、できるだけ長く愛用したいものです。 シーズン前の撥水性とカビのチェックは、ウェアの寿命を延ばし、結果的に経済的なメリットにも繋がります。

撥水性の低下やカビの発生は、ウェアの機能が劣化しているサインです。 これらを放置すると、生地そのものへのダメージが深刻化し、クリーニングや専門的な処置でも回復が困難になる場合があります。 早期に発見し、洗濯や撥水加工などの適切なケアを施すことで、ウェア本来の性能を長く維持し、高価なウェアを買い替える頻度を減らすことができます。 シーズン前の少しの手間が、お気に入りのウェアを守るための最も効果的な投資となるのです。

確認を怠った場合のリスク一覧
確認項目 快適性への影響 安全性への影響 経済性への影響
撥水性の低下 ウェアが重くなる、蒸れや汗冷えによる不快感、パフォーマンス低下 濡れによる体温低下、低体温症のリスク増大 生地の劣化を早め、ウェアの寿命が縮む
カビの発生 不快な臭いの発生、見た目の悪化 アレルギー症状や呼吸器系疾患を引き起こす健康被害 除去が困難なシミや損傷に繋がり、買い替えが必要になる可能性

2. スキーウェアの撥水性をセルフチェックする方法

クローゼットの奥から引っ張り出したスキーウェア、いざゲレンデで使ってみたら「なんだか水が染みて冷たい…」なんて経験はありませんか?シーズン中に快適な滑りを楽しむためには、事前にウェアの撥水性が保たれているかを確認することが非常に重要です。専門的な道具は不要で、ご自宅にあるものだけで簡単にチェックできます。シーズンイン前の恒例行事として、撥水性のセルフチェックを取り入れましょう。

2.1 なぜ撥水性の維持が重要なのか

スキーウェアの性能を語る上で、「防水性」と「撥水性」は混同されがちですが、それぞれ異なる役割を担っています。「防水性」は生地の裏側に施されたコーティングやフィルム(メンブレン)によって、水が内側に侵入するのを防ぐ性能です。一方で「撥水性」は、生地の表面で水を弾く性能のことを指します。新品のウェアに水をかけると、水滴が玉のようにコロコロと転がり落ちるのは、この撥水加工の効果によるものです。

撥水性が低下すると、ウェアの表面が濡れてしまい、水の膜ができてしまいます。この状態になると、いくら内側の防水性が高くても、ウェア内部の湿気を外に逃がす「透湿性」という重要な機能が著しく損なわれてしまうのです。 結果として、汗がウェア内にこもり、その汗が冷えることで「汗冷え」を引き起こします。これは体温を急激に奪い、パフォーマンスの低下だけでなく、低体温症のリスクにも繋がる危険な状態です。快適で安全なスキーを楽しむためにも、撥水性の維持は欠かせないのです。

2.2 霧吹きやシャワーで簡単チェック

ご自宅でスキーウェアの撥水性を確認するのは非常に簡単です。霧吹きやシャワーを使って、手軽にチェックしてみましょう。

【チェック手順】

  1. ウェアのファスナーやボタンを全て閉め、ハンガーにかけます。
  2. 浴室やベランダなど、水に濡れても問題ない場所に吊るします。
  3. ウェアから20cmほど離れた場所から、霧吹きやシャワーで水を優しく吹きかけます。
  4. 生地表面の水の弾き方を観察します。

チェックする際は、特に摩擦や汚れが付着しやすい肩、お尻、袖口、膝周りを重点的に確認するのがポイントです。これらの部分は撥水性が低下しやすい傾向にあります。

撥水性の状態セルフチェック表
判定 ウェアの状態 必要なメンテナンス
良好 水をかけた部分が玉状になり、コロコロと転がり落ちる。生地に水が染み込まず、手で払うと水滴が簡単に落ちる。 現状のまま使用可能です。シーズン終了後に洗濯と撥水処理を行いましょう。
低下気味 水が玉状になるものの、一部がじわっと生地に染み込み、色が濃くなる部分がある。 洗濯と熱処理による撥水性の回復を試みることをおすすめします。
要メンテナンス 水をかけると玉にならず、すぐに生地に水が染み込んでしまう。全体的に色が濃く変わる。 洗濯後、撥水スプレーやクリーニング店の撥水加工サービスを利用して、しっかりと撥水性を回復させる必要があります。

もし撥水性の低下が見られた場合は、次の章でご紹介する方法で回復させましょう。適切なメンテナンスを行うことで、ウェアの寿命を延ばし、毎シーズン快適なコンディションでスキーやスノーボードを楽しむことができます。

3. 自宅でできるスキーウェアの撥水性を回復させる手順

ワンシーズン着用したスキーウェアは、目に見えない汗や皮脂、雪に含まれる汚れなどが付着し、撥水機能が低下しがちです。しかし、適切な手順を踏めば、自宅でのケアでも驚くほど撥水性を回復させることが可能です。クリーニングに出す前に、まずはご自身でのメンテナンスを試してみましょう。ここでは、洗濯から熱処理まで、効果的な撥水性の回復手順を詳しく解説します。

3.1 専用洗剤を使った正しい洗濯方法

スキーウェアの撥水性を回復させる第一歩は、汚れをしっかり落とすことです。ただし、一般的な家庭用洗剤は、撥水性能を低下させる可能性のある界面活性剤や柔軟剤成分が含まれていることがあるため、使用は避けましょう。 ゴアテックス(GORE-TEX)などの高機能素材には、その性能を損なわずに汚れを落とすアウトドアウェア専用の洗剤が最適です。

洗濯を始める前に、必ずウェアについている洗濯表示を確認してください。 表示に従い、以下の手順で洗濯を進めましょう。

  1. 準備:ウェアのファスナーやボタン、ベルクロなどをすべて閉じます。 汚れがひどい袖口や襟などは、専用洗剤の原液を少量つけて軽く叩くようにして前処理しておくと効果的です。
  2. 洗濯:ウェアを畳んで洗濯ネットに入れます。 洗濯機を使用する場合は、「手洗いコース」や「ドライコース」など、水流の弱いコースを選びましょう。 手洗いの場合は、決してゴシゴシこすらず、優しく押し洗いするのがポイントです。
  3. すすぎと脱水:洗剤成分が生地に残ると撥水性の低下に繋がるため、すすぎは通常の倍以上の水量や時間で念入りに行うことが重要です。 脱水は1分程度の短い時間で済ませ、ウェアへの負担を最小限に抑えます。
  4. 乾燥:形を整え、風通しの良い日陰で完全に乾かします。早く乾かしたいからとストーブの前に置くなど、高温での急激な乾燥は生地を傷める原因になるため絶対にやめてください。

注意点:柔軟剤や漂白剤は、ウェアの撥水コーティングを剥がしてしまったり、生地本来の透湿性を損なったりする原因となります。これらは絶対に使用しないでください

3.2 市販の撥水スプレーを効果的に使うコツ

洗濯と乾燥だけでは撥水性が十分に回復しない場合や、効果をさらに高めたい場合には、市販の撥水スプレーが有効です。スプレーを効果的に使うためには、成分の違いを理解し、正しい手順で塗布することが大切です。

3.2.1 フッ素系とシリコン系の違いと選び方

撥水スプレーには、主成分によって「フッ素系」と「シリコン系」の2種類があります。 それぞれに特徴があり、スキーウェアには透湿性を損ないにくいフッ素系が推奨されます。

種類 特徴 メリット デメリット
フッ素系 繊維一本一本をコーティングし、水だけでなく油や汚れも弾きます。生地の通気性(透湿性)を損ないにくいのが最大の特徴です。 透湿防水素材(ゴアテックスなど)の性能を維持でき、汚れが付着しにくくなります。 シリコン系に比べて価格がやや高価で、効果の持続性が比較的短い傾向があります。
シリコン系 生地の表面をシリコン樹脂で覆うことで、強力な撥水膜を作ります。 価格が比較的安価で、撥水効果の持続性が高いです。 生地の織り目を塞いでしまうため、ウェア内部の湿気を外に逃がす「透湿性」を損なう可能性があり、蒸れやすくなります。

3.2.2 ムラなく仕上げるスプレーのテクニック

撥水スプレーの効果を最大限に引き出すには、均一に塗布することが不可欠です。以下の手順とコツを参考にしてください。

  1. 場所の選定:必ず屋外の、風通しの良い場所で行ってください。スプレーの粒子を吸い込まないように注意しましょう。
  2. 準備:洗濯済みの完全に乾いたウェアをハンガーにかけます。 汚れが残っていると、汚れごとコーティングしてしまい効果が半減します。
  3. スプレー:ウェアから20~30cmほど離し、全体がしっとりと濡れるまで、水平に動かしながら均一にスプレーします。 一箇所に集中してスプレーすると、シミやムラの原因になるので注意が必要です。
  4. 重点的な塗布:特に雪や雨に当たりやすく、擦れやすい肩、お尻、膝、袖口などの部分は、やや多めにスプレーしておくと効果が長持ちします。
  5. 乾燥:スプレー後は、製品の指示に従い、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させます。 最低でも20分以上は乾燥時間を取りましょう。

3.3 アイロンやドライヤーで熱を加えて効果を定着

撥水加工の効果を飛躍的に高め、長持ちさせる秘訣が「熱処理」です。 フッ素系の撥水剤は熱を加えることで、撥水成分が繊維にしっかりと定着し、本来の性能を発揮します。 洗濯のみ、あるいは撥水スプレーをかけた後の仕上げとして必ず行いましょう。

アイロンを使う場合:

  • ウェアが完全に乾いていることを確認します。
  • 洗濯表示を確認し、アイロンがけが可能な温度(通常は低温~中温)に設定します。
  • ファスナーやプリント部分を避け、必ず当て布をして、ゆっくりと全体にアイロンをかけます。 直接アイロンを当てると生地を傷める恐れがあります。

ドライヤーを使う場合:

  • ウェアが完全に乾いていることを確認します。
  • ウェアから10cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように常に動かしながら、全体に温風を当てていきます。
  • 特に熱に弱い素材もあるため、近づけすぎや長時間の照射は避けてください。

これらの手順をシーズン前に丁寧に行うことで、スキーウェアの撥水性は見違えるように回復します。快適なコンディションでウィンタースポーツを存分に楽しむために、ぜひ実践してみてください。

4. 要注意 スキーウェアに潜むカビの確認ポイント

楽しいスキーシーズンの前に、クローゼットの奥から出したウェアがカビ臭かったら気分も台無しです。スキーウェアは、シーズンオフの間に汗や皮脂、湿気が原因でカビが発生しやすい状態にあります。カビは見た目が悪いだけでなく、不快な臭いやアレルギーの原因になったり、ウェアの生地そのものを劣化させたりする可能性も否定できません。 シーズンインしてから後悔しないためにも、ここで紹介するポイントを参考に、隅々までしっかりチェックしておきましょう。

4.1 カビが発生しやすい場所と見つけ方

カビは、湿気がこもりやすく、汗や皮脂などの汚れが残りやすい場所に発生します。目視で確認する際は、「黒や緑、白っぽいポツポツとした斑点」や「生地の変色」がないか、明るい場所でウェア全体を広げて念入りに確認することが重要です。特に注意すべき場所と、カビの特徴を以下の表にまとめました。

チェックすべき場所 カビの特徴と見つけ方
襟元・袖口

直接肌に触れるため、皮脂や汗が付着しやすい部分です。内側を中心に、縫い目に沿って黒い点々がないか確認しましょう。

脇の下・背中

汗をかきやすく、湿気がこもりやすいエリアです。裏地やメッシュ部分に変色やカビ臭さがないかチェックします。

ポケットの内部

濡れたグローブや小物、お菓子の食べかすなどを入れたままだと、カビの温床になります。ポケットを裏返して、四隅までしっかり確認してください。

ファスナー周り・縫い目

水分が溜まりやすく、乾燥しにくい箇所です。特にシームテープ(縫い目からの浸水を防ぐテープ)が貼られている部分は、テープの隙間や内側にカビが発生していないか注意深く見ましょう。

ウェアの裾

雪や泥が付着しやすく、汚れが残りやすい部分です。表側だけでなく、内側の折り返し部分もしっかりと確認することが大切です。

4.2 カビの臭いがしたら確認すべきこと

クローゼットから出したウェアが、なんとなく「土臭い」「ホコリっぽい」と感じたら、それはカビが発生しているサインかもしれません。 カビは目に見える大きさになる前から特有の臭いを放つため、見た目に問題がなくても、臭いがしたらカビの存在を疑うべきです

臭いによる確認は、以下の手順で行うと効果的です。

  1. ウェア全体を嗅ぐ:まず、ウェアを広げて全体的に臭いを確認します。特に湿気がこもりやすい胴体部分や背中から臭いを感じることが多いです。

  2. パーツごとに嗅ぐ:次に、襟元や脇の下、袖口など、カビが発生しやすい場所を重点的に鼻に近づけてチェックします。部分的に臭いが強い場合は、その周辺にカビが潜んでいる可能性が高いです。

  3. 密閉して確認する:もし臭いが微かで判断しにくい場合は、スキーウェアを大きなビニール袋に入れて口を縛り、数時間放置してみてください。袋を開けた瞬間にカビ臭さが強く感じられれば、カビが発生していると判断できます。

目に見えるカビがなくても、臭いがするということは繊維の奥にカビ菌が繁殖している証拠です。 そのまま着用すると健康に影響を及ぼす可能性もあるため、次の章で紹介する適切な対処法を実践しましょう。

5. スキーウェアのカビを発見した時の対処法

シーズンオフの保管中に、大切にしまっていたはずのスキーウェアにカビを発見するとショックですよね。しかし、カビが生えてしまっても諦めるのはまだ早いです。カビは初期段階であれば自宅で正しく対処することで、きれいに除去できる可能性があります。ここでは、カビの状態に合わせた具体的な対処法と、ウェアの機能を損なわないための注意点を詳しく解説します。

5.1 初期段階のカビを落とす方法

表面に白いポツポツとしたカビや、小さな黒い斑点が見られる程度の初期段階のカビであれば、ご家庭での対処が可能です。生地の奥深くまでカビが根を張る前に、迅速に作業に取り掛かりましょう。

準備するもの

  • マスク、ゴム手袋
  • 柔らかいブラシ(使い古しの歯ブラシなど)
  • タオル数枚
  • おしゃれ着用中性洗剤
  • 消毒用エタノール

カビ取りの手順

  1. 屋外でカビを払い落とす: まず、カビの胞子を吸い込んだり、室内にまき散らしたりしないよう、必ずマスクと手袋を着用し、風通しの良い屋外で作業します。ウェアの表面を柔らかいブラシで優しくブラッシングし、カビを払い落とします。この時、強く擦るとカビの菌が生地の繊維の奥に入り込んでしまうため、あくまで優しく払うのがポイントです。
  2. 部分洗いを行う: おしゃれ着用中性洗剤をぬるま湯で薄め、タオルに含ませて固く絞ります。カビが生えていた箇所を、このタオルで優しくトントンと叩くように拭き取り、汚れを落とします。
  3. 消毒用エタノールで殺菌する: カビの菌を根絶するために、消毒用エタノールをカビのあった部分にスプレーするか、別のタオルに含ませて丁寧に拭き上げます。色落ちや変色の可能性がないか、事前にウェアの裏側など目立たない部分で必ずテストしてから使用してください。
  4. しっかりとすすぎ、乾燥させる: 最後に、水で濡らして固く絞ったタオルで、洗剤やエタノールが残らないように何度も拭き取ります。その後、風通しの良い日陰でウェアが完全に乾くまで干します。湿気が残っているとカビが再発する原因になるため、完全に乾燥させることが非常に重要です。

5.2 自宅での対処が難しいカビはクリーニングへ

次のような状態のカビは、自宅での対処が難しく、無理に落とそうとするとウェアの生地を傷めたり、撥水性などの機能を損なったりする可能性があります。このような場合は、専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。

  • カビが広範囲にわたって発生している
  • 黒カビが生地の奥深くまで浸透し、濃いシミになっている
  • 自宅で洗濯してもカビの臭いが全く取れない
  • ゴアテックス(GORE-TEX)などの特殊な防水透湿素材が使われている

スキーウェアやアウトドアウェア専門のクリーニング店であれば、素材に関する専門知識が豊富で、カビ取りだけでなく、撥水加工の再施工なども依頼できます。 料金はカビの状態や範囲によって追加料金が発生することが一般的ですが、大切なウェアを長く使うためにはプロに任せるのが最善の選択です。

5.3 やってはいけないカビ取りNG集

カビを早く落としたい一心でやってしまいがちな間違った対処法は、スキーウェアの寿命を縮める原因となります。特に以下の方法はウェアの防水性や撥水性を著しく低下させる危険があるため、絶対に行わないでください。

NG行為 理由
塩素系漂白剤の使用 強力な漂白作用により、ウェアの色落ちや変色を引き起こします。また、防水コーティングや撥水加工を破壊してしまう最も大きな原因の一つです。
浴室用カビ取り剤の使用 浴室用のカビ取り剤は成分が非常に強く、スキーウェアのようなデリケートな素材に使用すると、生地そのものを溶かしたり、破れの原因になったりします。
お湯での洗濯やつけ置き 高温のお湯は、ウェアの縮みや変形を招きます。 また、縫い目からの浸水を防ぐシームテープが剥がれてしまう原因にもなります。
強く擦り洗いする ブラシなどでゴシゴシと強く擦ると、生地表面の撥水加工が剥がれ落ちてしまいます。 また、摩擦によって生地が傷み、耐久性が低下します。
乾燥機での高温乾燥 スキーウェアは熱に弱い素材が多く使われています。 乾燥機やストーブの熱で乾かすと、生地が縮んだり、防水透湿膜が損傷したりする危険があります。

6. 来シーズンも安心 撥水性とカビを防ぐ正しい保管術

スキーやスノーボードをシーズンオフの間、適切に保管することは、ウェアの性能を維持し、寿命を延ばすために非常に重要です。特に「湿気」と「汚れ」は、撥水性の低下やカビの発生に直結する最大の敵です。シーズン終了後のほんのひと手間が、来シーズンもお気に入りのウェアで快適に楽しむための鍵となります。 ここでは、次のシーズンも最高のコンディションで迎えるための、正しい保管術をステップごとに詳しく解説します。

6.1 保管前のひと手間が重要!汚れを完璧に落とす

ゲレンデでの雪や泥汚れはもちろん、目に見えない汗や皮脂、リフトから落ちてくる油汚れなどがウェアには付着しています。 これらの汚れが残ったまま保管すると、カビや悪臭の原因になるだけでなく、生地の撥水性能を著しく低下させてしまいます。 必ず洗濯表示を確認し、自宅で洗濯するか、クリーニングに出してから保管しましょう。

自宅で洗濯する場合は、ウェアのファスナーやボタンを全て閉め、洗濯ネットに入れて手洗いやドライコースなどの優しいモードで洗うのが基本です。 洗剤は、アウトドアウェア専用のものを使うと、撥水成分へのダメージを抑えられます。 シーズンオフの保管前には、クリーニング店の撥水加工サービスを利用するのも、性能を維持する上で非常に効果的です。

6.2 湿気は大敵!スキーウェアを完全に乾燥させる

洗濯後は、ウェアを完全に乾燥させることがカビ防止の最も重要なポイントです。少しでも湿気が残っていると、保管中にカビが繁殖する絶好の環境を与えてしまいます。 乾燥させる際は、まずウェアの形を整え、風通しの良い日陰で干します。 直射日光は色褪せや生地の劣化を招く可能性があるため避けましょう。

特に、ポケットの中、縫い目、中綿などは乾きにくい部分なので、裏返して干すなど工夫し、数日間かけてじっくりと乾かすことが大切です。 完全に乾いたと思っても、念のためさらに一日多く干すくらいの心構えでいると安心です。乾燥機を使用する場合は、必ず洗濯表示を確認し、高温を避けて低温設定で慎重に行いましょう。

6.3 最適な保管場所の選び方と環境づくり

スキーウェアの保管場所として理想的なのは、「直射日光が当たらず、湿気が少なく、風通しの良い場所」です。 一般的には、クローゼットや押し入れの上段などが適しています。 逆に、湿気がこもりやすい地下室や、温度変化の激しい窓際は避けましょう。

保管環境をさらに良くするために、除湿剤や防虫剤を一緒に置くことを強くおすすめします。 除湿剤は、クローゼット内の湿気を吸収し、カビの発生を抑制します。 防虫剤を使用する際は、ウェアに直接触れないようにケースの隅に置き、無臭タイプを選ぶとウェアに臭いが移る心配がありません。クリーニングから戻ってきた際のビニールカバーは通気性が悪く、湿気がこもる原因になるため、必ず外して不織布などの通気性の良いカバーにかけ替えましょう。

6.4 型崩れとシワを防ぐ正しい保管方法

スキーウェアは、その機能性を損なわないためにも、型崩れやシワを防ぐ方法で保管することが大切です。 主な保管方法には「ハンガーにかける方法」と「たたんで保管する方法」の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

6.4.1 ハンガーにかけて保管する場合のポイント

最も推奨される保管方法が、ハンガーにかけて吊るす方法です。 この方法は、ウェア自体の重みでシワが伸び、型崩れを防ぎ、通気性も確保しやすいというメリットがあります。 ハンガーは、肩の部分に厚みがあるしっかりとしたものを選びましょう。細いハンガーは型崩れの原因になります。保管する際は、他の衣類と密着させず、ある程度の間隔を空けて空気の通り道を確保することが重要です。

6.4.2 たたんで保管する場合のポイント

保管スペースが限られている場合は、たたんで収納ケースに入れる方法もあります。 ただし、ウェアを圧縮袋で圧縮して保管するのは絶対に避けてください。 中綿やダウンが潰れてしまい、本来の保温性能が損なわれる可能性があります。 また、深いシワがついて取れなくなる原因にもなります。 たたむ際は、シワにならないようにふんわりとたたみ、通気性の良い不織布製の収納ケースに入れましょう。ケースの一番上など、重みがかからない場所に保管するのがコツです。

保管方法 メリット デメリット
ハンガー保管 ・型崩れやシワがつきにくい
・全体の通気性を確保しやすい
・広い保管スペースが必要になる
たたんで保管 ・省スペースで保管できる ・たたみジワがつく可能性がある
・圧縮すると性能が劣化する
・湿気がこもりやすい場合がある

6.5 シーズンオフ中の定期的なメンテナンス

一度保管したら次のシーズンまでそのまま、というのは実はリスクがあります。特に湿度の高い梅雨の時期などは、保管場所の湿度が上がりがちです。理想は、シーズンオフ中に1〜2回、クローゼットや収納ケースを開けて空気を入れ替えることです。 これにより、こもった湿気を逃し、カビの発生リスクをさらに低減させることができます。その際に、除湿剤が効果を失っていないかを確認し、必要であれば交換しましょう。

7. まとめ

シーズン開幕を心待ちにしている今こそ、スキーウェアのコンディションを確認する絶好の機会です。ゲレンデで「寒い」「濡れる」といった不快な思いをせず、最高のパフォーマンスを発揮するためには、シーズン前の「撥水性」と「カビ」のチェックが欠かせません。ウェアの寿命を延ばすためにも、この一手間を惜しまないことが重要です。

ウェアの撥水性は、霧吹きなどで簡単にセルフチェックできます。もし低下している場合は、まずスキーウェア専用の洗剤で洗濯し、汚れをしっかり落としましょう。その後、通気性を損ないにくいフッ素系の撥水スプレーをムラなく塗布し、最後にアイロンやドライヤーで熱を加えることで、撥水効果を確実に定着させることができます。

クローゼットの奥に潜むカビは、アレルギーの原因にもなり得る厄介な存在です。特に襟元や袖口、縫い目などを中心に、黒い点々や特有の臭いがないか確認してください。初期のカビであれば自宅での対処も可能ですが、生地を傷める可能性があるため、無理は禁物です。手に負えないと感じたら、専門のクリーニング業者に相談するのが最も確実で安全な方法です。

シーズン前のメンテナンスをしっかり行うことで、冬本番を万全の状態で迎えることができます。この記事でご紹介したポイントを参考に、あなたの大切なスキーウェアをケアし、快適で楽しいスキー・スノーボードシーズンをお過ごしください。