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実はこんな服もNG?洗濯ネットで守れる服・守れない服のすべてをクリーニング師が回答

実はこんな服もNG?洗濯ネットで守れる服・守れない服のすべてをクリーニング師が回答

大切な服を守るための洗濯ネットですが、実は使い方を間違えると汚れ落ちが悪くなるなど逆効果になることも。この記事を読めば、クリーニングのプロが「洗濯ネットで守れる服・守れない服」の明確な基準を徹底解説します。Tシャツやジーンズなど日常着で迷う服の判断基準から、衣類の寿命を延ばすネットの正しい選び方・入れ方のコツまで、あなたの洗濯の疑問がすべて解決。お気に入りの服を長くきれいに着るための知識が身に付きます。

1. はじめに 洗濯ネットは万能ではない?その役割と誤解

「お気に入りの服だから、とりあえず洗濯ネットに入れておけば安心!」

毎日の洗濯で、このように考えている方は多いのではないでしょうか。確かに、洗濯ネットはデリケートな衣類を洗濯機のダメージから守るための必須アイテムです。しかし、洗濯ネットを「万能の鎧」だと思い込み、使い方を間違えると、かえって衣類を傷めたり、汚れ落ちを悪くしたりする原因になることをご存知でしたか?

この記事では、日々の洗濯を預かるクリーニング師の視点から、意外と知られていない洗濯ネットの本当の役割と、多くの人が陥りがちな誤解について詳しく解説します。大切な衣類を長く愛用するために、まずは洗濯ネットの基本を正しく理解することから始めましょう。

1.1 洗濯ネットの本当の役割とは?衣類を守る4つの基本効果

洗濯ネットの主な役割は、洗濯槽の中で衣類が受ける様々な物理的ダメージを軽減することです。具体的にどのような効果があるのか、まずは基本を押さえておきましょう。

基本効果 具体的な内容
型崩れ・シワの防止 ネットが衣類の動きを適度に制限し、洗濯中のねじれや引っ張りを防ぎます。これにより、Tシャツの首元のヨレや、ブラウスの型崩れ、過度なシワの発生を抑えます。
付属品・装飾の保護 ボタンやビーズ、スパンコール、刺繍などが他の衣類に引っかかったり、洗濯槽に当たって破損したりするのを防ぎます。また、ファスナーが他の衣類を傷つけるのも防ぎます。
摩擦ダメージの軽減 他の衣類との摩擦を減らすことで、ニットの毛玉や、デリケートな素材の毛羽立ち、生地表面の傷みを防ぎます。特にカシミヤやシルクなどの高級素材には欠かせません。
衣類同士のトラブル防止 ストッキングや袖の長いシャツなどが他の衣類と絡まるのを防ぎます。また、濃い色の衣類からの色移りや、タオルなどから出る糸くずの付着を軽減する効果もあります。

1.2 「ネットに入れれば何でもOK」は大きな間違い!よくある3つの誤解

洗濯ネットの基本効果を理解すると、ますます「何でもネットに入れたい」と思ってしまうかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。良かれと思ってやっていることが、実は逆効果になっているケースも少なくないのです。

1.2.1 誤解1:汚れがひどい服もネットに入れれば安心?

これは最も多い誤解の一つです。洗濯ネットは衣類を保護する一方で、水の通りや洗剤の浸透をある程度妨げます。そのため、泥汚れや食べこぼしといった頑固な汚れが付着した衣類をネットに入れると、汚れが十分に落ちきらない可能性があります。特に目の細かいネットではその傾向が顕著になります。汚れをしっかり落としたい場合は、ネットの使用は慎重に判断する必要があります。

1.2.2 誤解2:どんな服でもとりあえず入れておけば大丈夫?

そもそも洗濯ダメージに強い、ジーンズや作業着のような頑丈な生地の衣類を毎回ネットに入れる必要はありません。また、シワになりにくいポリエステル素材のTシャツなどを、小さすぎるネットに無理に詰め込むと、逆に不自然なシワが付いてしまうこともあります。すべての衣類にネットが必要なわけではないのです。

1.2.3 誤解3:ネットに詰め込めば一度に洗えて効率的?

洗濯物を一度に済ませたいからと、一つのネットに複数の衣類をパンパンに詰め込んでいませんか?これは絶対にNGです。ネットの中で衣類が動くスペースがないと、洗剤や水が内部まで行き渡らず、汚れ落ちが極端に悪くなります。さらに、衣類同士が密着したまま洗われるため、保護効果も半減してしまいます。「1つのネットに1枚の衣類」が、洗濯ネットの効果を最大限に引き出すための鉄則です。

これらの誤解を解き、洗濯ネットの特性を正しく理解することが、洗濯上手への第一歩です。この先の章では、これらの基本を踏まえた上で、「具体的にどんな服をネットに入れるべきか、または入れるべきではないか」を、素材や形状ごとに詳しく解説していきます。

2. 【基本編】洗濯ネットで守れる服と入れるべき理由

「洗濯ネットは繊細なおしゃれ着だけ」と思っていませんか?実は、普段着ている多くの衣類も洗濯ネットに入れることで、その寿命を大きく延ばすことができます。洗濯機の中では、衣類は水流にもまれ、他の服と絡み合い、想像以上のダメージを受けています。洗濯ネットは、そんな過酷な環境から大切な服を守るための「プロテクター」なのです。ここでは、具体的にどのような服を洗濯ネットに入れるべきか、その理由とともに詳しく解説します。

2.1 型崩れやシワを防ぎたい服

お気に入りのTシャツの首元がヨレヨレになったり、ブラウスがシワだらけになったりする主な原因は、洗濯中の衣類の動きと他の服との絡みです。洗濯ネットは、衣類が洗濯槽の中で過度に動くのを制限し、形を保ったまま優しく洗い上げる手助けをします。

特にニットやカットソーのように編まれて作られた生地は、引っ張られる力に弱く伸びやすいため、洗濯ネットの使用が必須と言えるでしょう。洗濯後のアイロンがけの手間を減らすという意味でも、非常に効果的です。

型崩れ・シワ防止のためにネットに入れたい服の例
衣類の種類 特に守りたい部分 起こりやすいトラブル
ニット・セーター 全体、特に首回りや袖口 全体の伸び、縮み、編み目のヨレ
ブラウス・シャツ 襟、袖、前立て 襟のヨレ、頑固なシワ、プリーツの消失
Tシャツ・カットソー 首回り、裾 首元の伸び、生地の斜行(ねじれ)
プリーツスカート・ワンピース プリーツ部分、全体のシルエット プリーツが取れる、シワ

2.2 装飾や付属品がデリケートな服

ビーズやスパンコール、刺繍、レースなど、繊細な装飾が施された衣類は、洗濯中に他の衣類に引っかかり、取れたりほつれたりする危険性が非常に高いです。また、硬いボタンや金属製のファスナーが付いた服は、それ自体が他の衣類を傷つける「加害者」になることもあります。

洗濯ネットは、これらの装飾や付属品を物理的に保護するバリアの役割を果たします。装飾のある服は裏返してからネットに入れると、さらに効果的に守ることができます。ランジェリーなどのホックも、レース生地を傷つけないように必ず留めてからネットに入れましょう。

2.3 傷みやすいデリケートな素材の服

素材そのものが摩擦や水流に弱いデリケートな衣類は、洗濯ネットに入れることで生地への負担を大幅に軽減できます。特に、水に濡れると強度が落ちる性質を持つ素材は注意が必要です。

シルクやウールなどの動物性繊維や、レーヨンのような再生繊維は、洗濯ネットなしで洗うと風合いを損ねたり、縮んだりする原因になります。大切な衣類を長く愛用するためにも、素材表示を確認し、デリケートなものは必ずネットを使いましょう。

素材の保護のためにネットに入れたい服の例
素材の種類 代表的な衣類 注意点
シルク、ウール、カシミヤ ブラウス、セーター、マフラー 摩擦による毛羽立ち、縮み、風合いの変化を防ぐ
レーヨン、キュプラ、テンセル ワンピース、スカート、ブラウス 水に弱くシワになりやすいため、水流を和らげる
サテン、シフォン、オーガンジー ドレス、ブラウスの装飾部分 非常に薄く、わずかな引っかかりで傷になるのを防ぐ
麻(リネン) シャツ、ワンピース シワになりやすく、摩擦で毛羽立ちやすいため優しく洗う

2.4 毛玉や色移りを防ぎたい服

セーターやスウェットにできる厄介な毛玉は、洗濯中の摩擦が大きな原因です。洗濯ネットに入れることで、他の衣類との摩擦を最小限に抑え、毛玉の発生を効果的に抑制できます。毛玉を防ぎたい衣類は、裏返してからネットに入れるとより効果的です。

また、濃い色の衣類から染料が流れ出て、淡い色の衣類に色が移ってしまう「色移り」も洗濯の悩みの一つ。洗濯ネットが染料の拡散を完全に防ぐわけではありませんが、ネットの壁があることで、濃色の衣類と淡色の衣類が直接触れ合うのを防ぎ、色移りのリスクを軽減する効果が期待できます。ただし、色移りを防ぐ基本は、色の濃いものと薄いものを分けて洗うことである点は忘れないでください。

2.5 他の衣類と絡まりやすい服や小物

パーカーの紐やワンピースのベルト、袖の長いシャツなどは、洗濯中に他の衣類と絡まりやすく、生地を傷めたり伸ばしてしまったりする原因になります。特にストッキングやタイツは、少しの引っかかりで伝線してしまうため、必ずネットに入れましょう。

また、靴下やハンカチ、下着などの小物は、洗濯槽の中で迷子になったり、洗濯槽の隙間に入り込んだりするトラブルも起こりがちです。小物を専用のネットにまとめて洗うことで、紛失を防ぎ、洗濯後の仕分けも楽になるというメリットもあります。

3. 【要注意】洗濯ネットでは守れない服と入れてはいけない服

洗濯ネットはデリケートな衣類を守るための心強い味方ですが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。すべての衣類をネットに入れれば安心、というわけではありません。ここでは、洗濯ネットに入れることでかえって汚れ落ちが悪くなる服や、ダメージの原因となってしまうNGな服について、クリーニング師の視点から詳しく解説します。

3.1 汚れ落ちが悪くなる 洗濯ネットでは守れない服

洗濯ネットは、衣類を水流や他の洗濯物との摩擦から守る役割を果たします。しかし、その保護機能が裏目に出て、洗浄力を著しく低下させてしまうケースがあるのです。特に、以下のようなひどい汚れが付着した衣類は注意が必要です。

  • 泥汚れがひどい作業着やスポーツウェア
    泥や砂の汚れは、洗濯機の水流や衣類同士がこすれ合う物理的な力によって掻き出されます。洗濯ネットに入れるとこの力が弱まり、繊維の奥に入り込んだ泥が残ってしまいます。
  • 油汚れや食べこぼしが広範囲についた服
    調理中の油はねやソースのシミなど、頑固な汚れは洗剤と水流が直接作用することで分解されます。ネットが壁となり、洗剤液が十分に行き渡らず、汚れが落ちにくくなります。
  • 汗や皮脂汚れが蓄積した肌着や靴下
    襟元や脇、足裏など、皮脂汚れがつきやすい部分は、しっかり洗わないと黄ばみや臭いの原因になります。ネットに入れることで洗浄力がマイルドになり、汚れが蓄積しやすくなる可能性があります。

これらの衣類を洗濯する際は、洗濯機に入れる前にひと手間加えることが大切です。洗剤を直接つけてもみ洗いしたり、つけ置き洗いをしたりといった予洗いをすることで、汚れを格段に落としやすくなります。予洗いをした後であれば、デリケートな素材の衣類はネットに入れて洗濯しても問題ありません。

3.2 逆効果になることも 洗濯ネットに入れてはいけないNGな服

衣類の種類によっては、洗濯ネットに入れること自体が型崩れや洗濯機の故障につながる危険性があります。「保護のため」と思って入れたのに、逆効果になってしまう衣類を覚えておきましょう。

特に注意が必要な衣類とその理由、正しい対処法を以下の表にまとめました。

NGな服の種類 洗濯ネットに入れてはいけない理由 推奨される洗濯方法
芯地のあるジャケットやシャツ ネットの中で不自然に折りたたまれると、肩パッドや襟の芯地が折れ曲がり、型崩れが元に戻らなくなる可能性があります。 洗濯表示を確認し、「手洗い」または「クリーニング」の指示に従います。家庭で洗える場合も、たたまずに優しく手洗いするのが基本です。
防水・撥水加工の衣類
(レインウェア、スキーウェアなど)
水を通しにくい生地のため、内部に空気が溜まって風船のように膨らみ、水に浮いてしまいます。全く洗えないだけでなく、洗濯槽の回転が不安定になり、異常振動や故障の原因になることもあり危険です。 洗濯表示に従い、手洗いや洗濯機の「手洗いコース」などを選びます。脱水は極力短時間にするか、タオルドライが推奨されます。
ダウンジャケットや中綿入りのアウター 防水・撥水加工の衣類と同様に、水に浮きやすく洗浄効果が得られません。また、ネットの中で中綿や羽毛が偏り、乾いた後も均一に戻りにくくなります。 専用の洗剤を使い、浴槽などで優しく押し洗いします。洗濯機を使用する場合は「大物洗いコース」や「ダウン専用コース」を選び、脱水は短時間で行います。
極端に大きなもの・厚手のもの
(厚手のコート、毛布など)
サイズの合わないネットに無理に詰め込むと、水や洗剤が内部まで浸透せず、汚れが全く落ちません。中で衣類が固まってしまい、すすぎも不十分になります。 ネットに入れずに単独で洗うか、サイズの合う特大の洗濯ネットを使用します。洗濯機の容量を守り、「毛布コース」などの専用コースを利用しましょう。

これらの衣類を洗濯する際は、必ず洗濯表示を確認することが大前提です。自己判断で洗濯ネットに入れてしまう前に、衣類に記載されたメーカー推奨の洗い方を守ることが、お気に入りの服を長持ちさせる一番の秘訣です。

4. これってどっち?洗濯ネットに入れるか迷う服の判断基準

デリケートな衣類は洗濯ネットに入れる、という基本は分かっていても、普段着ているTシャツやジーンズ、毎日使うタオルなどはどうすれば良いか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、クリーニングのプロの視点から、アイテムごとの判断基準を具体的に解説します。「この服を大切にしたいか」「買った時のきれいな状態を少しでも長く保ちたいか」という気持ちが、判断の大きな分かれ目になります。

4.1 Tシャツやスウェットは洗濯ネットに入れるべきか

Tシャツやスウェットは丈夫な素材が多いため、洗濯ネットに入れずに洗っている方がほとんどかもしれません。しかし、お気に入りの一着や長く着続けたいものは、洗濯ネットに入れることを強く推奨します。たった一手間で、衣類の寿命は大きく変わります。

特にTシャツで気になるのが「首元のヨレ」。洗濯中に他の衣類と絡まったり、水の流れで生地が不自然に引っ張られたりすることが主な原因です。洗濯ネットに入れることで、これらの物理的なダメージを大幅に軽減し、首元の伸びや型崩れを防ぐことができます。また、スウェットのような厚手で重さのある衣類は、洗濯中に生地が伸びやすいだけでなく、摩擦による毛玉も発生しやすいため、ネットに入れて保護するのが効果的です。

以下の表を参考に、お持ちのTシャツやスウェットをネットに入れるべきか判断してみてください。

Tシャツ・スウェットの洗濯ネット使用判断基準
判断ポイント 洗濯ネットに入れるべきケース ネットなしでも比較的OKなケース
素材・生地 薄手のコットン、リネン混、レーヨン、シルクなどの繊細な素材。オーガニックコットンやスーピマコットンなど高品質なもの。 厚手で丈夫なコットン100%のヘビーウェイトTシャツ。部屋着や作業着など。
デザイン・装飾 プリント、刺繍、ビーズ、レース、ワッペンなどの装飾があるもの。装飾部分の剥がれや引っかかりを防ぎます。 無地で装飾が一切ないシンプルなデザインのもの。
価格・思い入れ ブランド品、プレゼントされたもの、限定品など、大切にしたい「お気に入りの一着」。 安価なもの、消耗品と割り切って着ているもの。
服の状態 首元がヨレてきた、生地が少し薄くなってきたなど、ダメージが気になり始めた服。 新品で生地がしっかりしているもの(ただし、長持ちさせたいならネット推奨)。

結論として、Tシャツやスウェットは「毎回ネットに入れる」と決めてしまうのが、衣類を長持ちさせる最も確実な方法と言えるでしょう。

4.2 ジーンズやチノパンなどのボトムス類

ジーンズやチノパンといった丈夫なボトムス類は、洗濯ネットに入れるべきか特に迷いやすいアイテムです。これらは、「汚れ落ち」を優先するのか、「風合いや色合い」を優先するのかによって判断が異なります。

4.2.1 ジーンズの場合

ジーンズは、洗い方で風合いが大きく変わる代表的な衣類です。洗濯ネットの役割は、過度な摩擦を防ぐことにあります。

  • ネットに入れるメリット:洗濯中の摩擦を抑えることで、急激な色落ちや「アタリ」と呼ばれる縫い目部分の色落ちがつきすぎるのを防ぎます。特に、リジッドデニム(生デニム)から自分だけの色落ちを楽しみたい場合や、濃いインディゴの色合いを長く保ちたいヴィンテージジーンズなどは、裏返してネットに入れるのがおすすめです。また、他の衣類への色移りを軽減する効果も期待できます。
  • ネットに入れないメリット:泥汚れや油汚れなど、頑固な汚れをしっかり落としたい場合は、ネットに入れずに洗った方が洗浄力は高まります。ただし、その分色落ちや生地へのダメージは大きくなることを覚えておきましょう。その場合でも、ファスナーやボタンは必ず閉め、裏返して洗うことでダメージを最小限に抑えられます。

4.2.2 チノパン・スラックスの場合

チノパンやスラックスは、シワや型崩れが気になるアイテムです。きれいなシルエットを保ちたいのであれば、洗濯ネットの使用が基本です。

  • ネットに入れるメリット:ネットの中で衣類が固定されるため、洗濯中にできる不要なシワを防ぎ、アイロンがけの手間を減らすことができます。特に、センタープレス(中央の折り目)が入っているスラックスは、きれいにたたんでネットに入れることで、プレスが消えにくくなります。生地表面の摩擦も防げるため、テカリの発生を抑える効果もあります。
  • ネットに入れない場合:作業着として着用しているチノパンで、頑固な汚れが付着している場合などが考えられます。しかし、基本的にはネットに入れて、汚れがひどい部分は洗濯機に入れる前に部分洗いをしておくのが最適な方法です。

4.3 タオルやパジャマは必要?

毎日肌に触れるタオルやパジャマ。これらも洗濯ネットに入れるべきか悩むポイントです。

4.3.1 タオルの場合

結論から言うと、ほとんどのタオルは洗濯ネットに入れる必要はありません。タオルは水分や汚れをしっかり吸収し、それを洗濯で洗い流すのが役割です。ネットに入れると水の通りが悪くなり、洗浄力が落ちて雑菌や臭いが残る原因にもなりかねません。パイル地のループを立たせるためにも、ある程度の水流の中で泳がせるように洗うのが理想的です。

ただし、以下のような特殊なケースではネットの使用を検討しましょう。

  • 装飾があるタオル:レースや刺繍が施されているデザイン性の高いタオルは、引っかかりを防ぐためにネットに入れます。
  • デリケートな素材のタオル:ガーゼタオルや非常に細い糸で織られた高級タオルなどは、風合いを損なわないためにネットに入れるのがおすすめです。
  • 新品のタオル:最初の数回の洗濯では、余分な繊維(遊び毛)がたくさん出ます。他の衣類への付着を防ぐ目的で、タオルだけをネットに入れて洗う、またはタオルのみで洗濯すると良いでしょう。

4.3.2 パジャマの場合

パジャマは、素材やデザインによりますが、快適な着心地を長く保つために、できるだけ洗濯ネットに入れることをおすすめします。

パジャマは睡眠中に長時間肌に触れるため、生地の柔らかさや風合いが着心地に直結します。特に、シルク、サテン、ガーゼ、フランネル(ネルシャツの素材)といったデリケートな素材のパジャマは、ネットなしで洗うと生地が傷んだり、毛玉ができたりして肌触りが悪くなってしまいます。また、ボタンやリボン、ウエストのゴムなどを保護し、他の衣類との絡まりを防ぐためにも洗濯ネットは非常に有効です。丈夫な綿100%のスウェットタイプのパジャマであっても、ネットに入れることで型崩れや生地の劣化を防ぎ、長く愛用することができます。

5. 洗濯ネットの効果を最大化するプロの正しい使い方

洗濯ネットは、ただ衣類を入れれば良いというものではありません。実は、その選び方や使い方を少し工夫するだけで、衣類を保護する効果が格段にアップします。せっかくの手間を無駄にしないためにも、クリーニングのプロが実践している「洗濯ネットの効果を最大化する使い方」をマスターしましょう。大切な衣類をより長く、美しい状態で保つための秘訣をご紹介します。

5.1 服を守るための洗濯ネットの選び方

100円ショップで手軽に購入できるものから、衣類メーカーが開発したものまで、洗濯ネットには様々な種類があります。衣類の素材や形、守りたいポイントによって最適なネットは異なります。ここでは、目的別に最適な洗濯ネットを選ぶための3つのポイントを解説します。

5.1.1 サイズは「服が動かない」が基本

洗濯ネットを選ぶ上で最も重要なのがサイズです。たたんだ衣類がぴったり収まり、ネットの中で余計な動きをしないジャストサイズを選びましょう。

大きすぎるネットに衣類を1枚だけ入れると、洗濯中に中で衣類が動いてしまい、結局シワや型崩れの原因になってしまいます。逆に、小さすぎるネットに無理やり詰め込むと、洗剤や水が十分に行き渡らず、汚れがきちんと落ちません。衣類をきれいにたたんだ状態で、軽く左右に振っても形が崩れないくらいのサイズが理想的です。シャツならシャツ用、セーターならセーター用など、洗いたい衣類に合わせたサイズをいくつか揃えておくと便利です。

5.1.2 網目の粗さ「粗目」と「細目」の使い分け

洗濯ネットの網目の大きさには「粗目」と「細目」の2種類があり、それぞれに得意な役割があります。洗いたい衣類に合わせて使い分けることで、洗浄力と保護力の両方を高めることができます。

網目の種類 特徴とメリット・デメリット おすすめの衣類
粗目 網目が大きく、クッション性があります。
メリット:水や洗剤の通りが良く、洗浄力が高いです。すすぎもしっかりできます。
デメリット:小さなゴミや糸くずはネット内に入りやすいです。繊細な装飾は引っかかる可能性があります。
ニット、セーター、トレーナー、フリースなど、汚れをしっかり落としたいけれど型崩れは防ぎたい厚手の衣類におすすめです。
細目 網目が細かく、生地が滑らかです。
メリット:糸くずやホコリの侵入を防ぎ、衣類への摩擦を最小限に抑えます。装飾も守ります。
デメリット:水や洗剤の通りが粗目よりは劣るため、ひどい汚れには不向きな場合があります。
ブラウス、ランジェリー、ストッキング、ビーズやレース付きの衣類など、特に摩擦や引っ掛かりから守りたいデリケートな衣類に最適です。

5.1.3 形状ごとの特徴とおすすめの衣類

洗濯ネットには様々な形状があり、衣類の形に合わせて選ぶことで型崩れをより効果的に防げます。代表的な3つの形状と、それぞれに適した衣類を見ていきましょう。

形状 特徴 おすすめの衣類
平型(角型) 最もスタンダードな形状で、サイズ展開が豊富です。衣類をきれいにたたんで入れやすいのが特徴です。 ワイシャツ、ブラウス、Tシャツ、スラックスなど、シワをつけずに洗いたい衣類全般に適しています。
筒型・丸型 洗濯槽の中で水流を受けて回転しやすく、中身が偏りにくいのがメリットです。 靴下、ストッキング、ハンカチ、ネクタイなど、絡まりやすい小物類をまとめて洗うのに便利です。
立体型(ボックス型・ドーム型) マチがあり、厚みのあるものを形を保ったまま入れられます。クッション性が高い製品が多いのも特徴です。 ブラジャー(ワイヤー入り)、キャップ(帽子)、厚手のセーター、ぬいぐるみなど、立体的な形状を崩したくないものに最適です。

5.2 衣類のダメージを減らす正しい入れ方

最適なネットを選んだら、次はその「入れ方」が重要です。正しい入れ方を実践するだけで、洗濯によるダメージは驚くほど軽減されます。ほんの少しの手間で、お気に入りの服の寿命を延ばしましょう。

5.2.1 基本は「1ネット1枚」できれいにたたむ

洗濯ネットに入れる際の鉄則、それは「1つのネットに1枚の衣類を入れる」ことです。面倒だからと複数の衣類を詰め込むのは絶対にやめましょう。衣類同士がネットの中で絡まり、シワや生地の傷みの原因になるだけでなく、汚れが均一に落ちないというデメリットもあります。

入れる際は、衣類の形を整え、きれいにたたむことがポイントです。特に汚れが気になる襟や袖口、シミの部分は、外側になるようにたたむと洗浄効果が高まります。たたむことで衣類がネットの中で動くのを防ぎ、型崩れや不要なシワがつくのを最小限に抑えることができます。

5.2.2 ボタンやファスナーは必ず閉める

衣類をネットに入れる前に、必ずチェックしてほしいのがボタンやファスナーです。

ファスナーが開いたままだと、その金具が洗濯中に他の衣類に引っかかり、生地を傷つけたり、伝線を起こしたりする原因になります。洗濯ネット自体を内側から破ってしまうこともあります。また、ボタンを開けたまま洗濯すると、ボタンが取れてしまったり、ボタンホールが伸びてヨレヨレになったりする可能性があります。

他の衣類を守るため、そして入れる衣類自身の形を守るためにも、ボタンやファスナー、ホック類はすべて閉じた状態にしてからネットに入れる習慣をつけましょう。この一手間が、洗濯物全体の品質を保つことに繋がります。

6. まとめ

洗濯ネットは、デリケートな衣類を守る便利なアイテムですが、万能ではありません。型崩れや装飾を守りたい服には必須ですが、ひどい汚れの服は汚れ落ちが悪くなるため不向きです。効果を最大化するには、衣類に合ったサイズや網目のネットを選び、「1ネット1枚」でたたんで入れるのが基本です。この記事で解説した「守れる服」と「守れない服」の判断基準を参考に、洗濯ネットを正しく使い分け、あなたの大切な衣類をダメージから守りましょう。