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【完全ガイド】古着特有の匂いを取る洗濯法を5ステップで解説!素材別の注意点も

【完全ガイド】古着特有の匂いを取る洗濯法を5ステップで解説!素材別の注意点も

この記事では、古着特有の気になる匂いを自宅で取る洗濯法を5ステップで徹底解説します。匂いの原因である雑菌やカビは、酸素系漂白剤や重曹を使った「つけ置き洗い」で根本から除去するのが最も効果的です。洗濯表示の確認方法からデニムやウールなど素材別の注意点、洗えない服の対処法まで網羅しているため、お気に入りの古着を傷めることなく、不快な匂いだけを完全に取り除くことができます。

1. なぜ古着は臭うのか その特有の匂いの正体と原因

一点もののデザインや、こなれた風合いが魅力の古着。しかし、手に入れた瞬間に気になるのが、あの独特の匂いではないでしょうか。このなんとも言えない匂いのせいで、せっかくのお気に入りの一着をなかなか着られない、という経験をした方も多いはずです。この章では、効果的な対策を行うために、まずは古着特有の匂いの正体と、その根本的な原因を徹底的に解明していきます。

古着の匂いは単一の原因ではなく、「雑菌由来の匂い」「保管環境による匂い」「外部から付着した匂い」という、主に3つの要因が複雑に絡み合って発生しています。それぞれの原因を正しく理解することが、匂いを根本から取り除くための第一歩です。

1.1 原因1 汗や皮脂汚れによる雑菌の繁殖

古着の匂いの最大の原因とも言えるのが、前の持ち主が着用した際に付着した汗や皮脂汚れです。一見きれいに見える古着でも、繊維の奥深くには目に見えない汚れが蓄積しています。これらの汚れは、洗濯で落としきれずに残ってしまったものです。

汗や皮脂そのものに強い匂いはありませんが、これらをエサにして雑菌、特に「モラクセラ菌」などが繁殖することで、生乾き臭のような不快な匂いを発生させます。長期間保管されている間に、繊維の奥でゆっくりと雑菌が増殖し、あの頑固な匂いへと変化していくのです。特に、脇や襟元など、汗をかきやすい部分は汚れが残りやすく、匂いが強くなる傾向にあります。

1.2 原因2 保管場所のカビやホコリの匂い

古着は、私たちの手元に届くまでに、海外の倉庫や店舗のストックヤードなどで長期間保管されています。その保管環境も、匂いの大きな原因となります。

例えば、湿気が多く風通しの悪い場所で保管されていた場合、カビが発生しやすくなります。これが、古着特有の「カビ臭さ」や「土っぽい匂い」の正体です。また、長期間動かされずに積まれていた衣類には、ホコリが蓄積し、独特の「古びた匂い」が付着します。ヴィンテージ品やデッドストック品に見られる重厚な匂いは、こうした保管環境に由来することが多いのです。

1.3 原因3 タバコや防虫剤などの付着臭

前の持ち主の生活環境や、保管方法によって付着した匂いも、非常に厄介な原因の一つです。これらは「付着臭」と呼ばれ、代表的なものには以下のようなものがあります。

  • タバコの匂い: 喫煙環境で着用・保管されていた衣類には、ヤニの匂いが深く染み付いています。
  • 香水の匂い: 前の持ち主が使用していた香水や柔軟剤の香りが強く残っているケースです。
  • 防虫剤の匂い: 家庭のクローゼットで長期間保管されていた場合、ナフタリンや樟脳(しょうのう)といった、昔ながらの防虫剤のツンとした化学的な匂いが付着していることがあります。

これらの成分の粒子は非常に細かく、繊維の構造の奥深くまで入り込んでいるため、一度の洗濯ではなかなか落ちにくく、特に頑固な匂いの原因となります。

これらの原因をまとめると、以下のようになります。

匂いの種類 主な原因 特徴
生乾きのような酸っぱい匂い 汗・皮脂汚れと雑菌(モラクセラ菌など)の繁殖 湿気を含むと匂いが強くなる。見た目では汚れが分かりにくい。
古びた・カビ臭い匂い 長期間の保管によるカビやホコリ 倉庫や古い家のクローゼットを連想させる匂い。ヴィンテージ品に多い。
化学的・人工的な匂い タバコ、香水、防虫剤(ナフタリン等)などの付着臭 特定の成分による強い匂い。繊維の奥に染み込み、非常に取れにくい。

このように、古着の匂いは様々な要因が絡み合って生まれます。次の章からは、これらの頑固な匂いを解消するための具体的な洗濯手順を詳しく解説していきます。

2. 洗濯を始める前に必ず確認すべきこと

お気に入りの古着を手に入れたら、すぐにでも匂いを取って着たい気持ちになりますよね。しかし、その前に必ず確認してほしいことが2つあります。それは「洗濯表示タグの確認」と「色落ちテスト」です。これを怠ると、衣類が縮んでしまったり、色が褪せてしまったりといった取り返しのつかない失敗につながる可能性があります。大切な古着を長く愛用するために、洗濯前のこのひと手間を必ず行いましょう。

2.1 洗濯表示タグで洗い方をチェック

洗濯表示タグは、その衣類の「取扱説明書」です。素材に合った正しい洗い方を知るための最も重要な情報源なので、必ず最初に確認してください。特に古着は、生産された年代によって洗濯表示の記号が異なる場合があるため注意が必要です。

主に確認すべきは以下のポイントです。

  • 家庭で洗濯できるか(洗濯おけマークの有無)
  • 使える水の温度
  • 使える漂白剤の種類(酸素系か塩素系か)
  • 干し方(日向干しか陰干しか)
  • アイロンの使用可否

特に匂い取りで使うことの多い酸素系漂白剤が使えるかどうかは、必ずチェックしましょう。以下に、2016年12月から変更された新しい洗濯表示(JIS L 0001)の主要な記号をまとめました。

基本記号 記号の意味 古着洗濯での注意点
洗濯おけ 家庭での洗濯処理 このマークに×が付いている場合は、家庭での洗濯はできません。数字は液温の上限、下の線は洗濯の弱さ(線が多いほど弱く)を示します。
三角形 漂白処理 匂い取りで使う酸素系漂白剤が使えるかを確認します。斜線が入っている場合は酸素系のみ可、×が付いている場合は塩素系・酸素系ともに使用不可です。
四角形 乾燥処理 四角の中に丸がある場合はタンブル乾燥(乾燥機)の記号です。古着は生地が弱っていることが多いため、タンブル乾燥は避けるのが無難です。
アイロン アイロン仕上げ アイロンの温度設定の目安です。・の数が多いほど高温でかけられます。
円形 クリーニング処理 円の中にPやFの文字があるものは、クリーニング店での処理方法を示します。家庭洗濯不可の場合は、プロに相談しましょう。

古い古着の場合、日本語で「手洗イ」と書かれていたり、旧JIS規格のマークが使われていたりします。もしタグが読み取れない、あるいは付いていない場合は、次の色落ちテストを慎重に行い、素材から洗い方を判断する必要があります。

2.2 目立たない場所で色落ちテストを行う

洗濯表示で家庭洗濯が可能だと分かっても、すぐに洗濯機に入れるのは待ってください。特に色の濃いデニムや柄物、ヴィンテージ品などは、現在の衣類と比べて染料が落ちやすい傾向があります。他の衣類への色移りを防ぎ、古着自体の風合いを損なわないためにも、必ず色落ちテストを行いましょう。

2.2.1 色落ちテストの具体的な手順

  1. 準備するもの:白い布(タオルやコットンなど)、おしゃれ着用の中性洗剤
  2. 洗剤液を作る:洗剤を数滴、水に溶かして薄い洗剤液を作ります。
  3. テストする場所を選ぶ:衣類の裾の裏側、縫い代、ポケットの内側など、表から見えない目立たない部分を選びます。
  4. 洗剤液をつける:白い布の端に作った洗剤液を少量つけ、テストしたい部分を軽くポンポンと叩きます。
  5. 確認する:数分待ってから、白い布に色が移っていないかを確認します。

このテストで白い布に色が濃く移ってしまった場合は、家庭での洗濯はリスクが高いと言えます。その場合は、単独で手早く手洗いするか、無理せずクリーニング店に相談することをおすすめします。色がほとんど移らなければ、次のステップに進んで問題ありません。

3. 古着特有の匂いを取る洗濯法 完全ガイド5ステップ

ここでは、古着のしつこい匂いを根本から取り除くための洗濯法を、5つのステップに分けて徹底的に解説します。これまで何を試してもうまくいかなかったという方も、この手順通りに進めれば、お気に入りの古着を気持ちよく着られるようになるはずです。さっそく、具体的な方法を見ていきましょう。

3.1 ステップ1 洗濯前の下準備 ブラッシング

洗濯機に入れる前のほんのひと手間が、仕上がりに大きな差を生みます。まずは、衣類用のブラシを使って、古着の表面や繊維の奥に潜むホコリ、髪の毛、そして匂いの原因となる微細な粒子を物理的にかき出しましょう。

特に、襟元、袖口、脇の下、ポケットの周りなど、汚れや匂いが蓄積しやすい部分は念入りにブラッシングすることがポイントです。生地の目に沿って優しくブラシをかけることで、繊維を傷めずに汚れだけを効率的に除去でき、この後のつけ置き洗いや洗濯の効果を最大限に高めることができます。

3.2 ステップ2 匂いの元を分解するつけ置き洗い

通常の洗濯だけでは落としきれない、繊維の奥深くに染み付いた汗や皮脂、雑菌には「つけ置き洗い」が絶大な効果を発揮します。匂いの原因菌を根本から分解し、消臭するために非常に重要なステップです。

3.2.1 酸素系漂白剤を使ったつけ置き法

色柄物の古着にも安心して使える酸素系漂白剤は、除菌・消臭パワーが強力で、古着の匂い対策の王道ともいえる方法です。

まず、洗濯桶やバケツに40℃から50℃のお湯を張り、規定量の粉末酸素系漂白剤(オキシクリーンやワイドハイターEXパワーなど)をよく溶かします。温度が低いと効果が半減してしまうため、必ずお湯を使うようにしてください。そこに古着を沈め、30分から1時間ほどつけ置きします。衣類が浮いてこないように、水を入れたペットボトルなどで重しをすると効果的です。つけ置き後はお湯ごと洗濯機に移し、次のステップに進みます。

3.2.2 重曹を使ったつけ置き法

酸素系漂白剤が使えないデリケートな素材や、よりナチュラルな方法を試したい場合には、重曹が役立ちます。重曹は弱アルカリ性で、汗や皮脂といった酸性の汚れを中和して分解する働きがあり、穏やかな消臭効果が期待できます。

40℃程度のぬるま湯10リットルに対して、大さじ3〜4杯の重曹を溶かします。そこに古着を投入し、1時間ほどつけ置きしてください。特に皮脂汚れが気になる襟や袖には、ペースト状にした重曹を直接塗り込んでからつけ置きするのもおすすめです。

方法 特徴 メリット 注意点
酸素系漂白剤 高い除菌・消臭・漂白効果 頑固な匂いや黄ばみに効果的。色柄物にも使える。 ウールやシルクなど動物性繊維には使用不可の場合がある。
重曹 穏やかな消臭・洗浄効果 皮脂汚れに強い。肌に優しく、デリケートな素材にも使いやすい。 酸素系漂白剤ほどの強力な除菌効果はない。

3.3 ステップ3 洗濯機を使った洗い方のコツ

つけ置きで匂いの元をしっかり分解したら、いよいよ洗濯機で本洗いです。ここでも洗剤選びとすすぎ方にコツがあります。

3.3.1 洗剤は粉末の弱アルカリ性がおすすめ

古着の匂いの主な原因である皮脂汚れは酸性です。そのため、洗浄力が高い粉末の弱アルカリ性洗剤を使うことで、汚れを効率的に中和し、しっかりと洗い流すことができます。一般的な液体洗剤の多くは中性なので、頑固な匂いには粉末洗剤の方が効果を実感しやすいでしょう。ただし、色落ちが心配な衣類やデリケートな素材の場合は、おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使用してください。

3.3.2 匂い戻りを防ぐためすすぎは2回以上

洗濯で衣類から剥がれた汚れや洗剤成分が繊維に残ってしまうと、それが新たな匂いの原因(匂い戻り)になります。これを防ぐために、すすぎは必ず2回以上行い、たっぷりの水で洗い流すことを徹底しましょう。洗濯機に「注水すすぎ」の機能があれば、水を溜めながらすすぐため、より効果的に汚れを排出できます。

3.4 ステップ4 短時間で脱水し生地へのダメージを減らす

洗濯の最終工程である脱水は、衣類への負担が大きいステップです。特に、年月を経た古着は繊維が弱っている可能性があるため、必要以上に長く脱水するのは避けましょう。

脱水時間は厚手のデニムでも3分以内、Tシャツやシャツなら1分程度で十分です。デリケートな素材の場合は30秒にするか、脱水機にかけずに乾いたバスタオルで挟んで水分を吸い取る「タオルドライ」がおすすめです。短時間の脱水は、生地の傷みを防ぐだけでなく、深いシワがつくのを防ぐ効果もあります。

3.5 ステップ5 雑菌の繁殖を防ぐ干し方

洗濯で綺麗になった衣類も、乾かし方を間違えると生乾き臭が発生し、すべての努力が水の泡になってしまいます。雑菌が繁殖する隙を与えないよう、素早く乾かすことが最大のポイントです。

3.5.1 天日干しで殺菌効果を高める

コットンやデニムなど、丈夫で色あせの心配が少ない衣類は、天日干しが最適です。太陽光に含まれる紫外線の力で、残った雑菌を天然の力で殺菌する効果が期待できます。干す際は、衣類同士の間隔を十分に空け、風の通り道を確保しましょう。裏返して干すと、色あせを最小限に抑えつつ、ポケットの中など乾きにくい部分もしっかり乾かせます。

3.5.2 陰干しが推奨される衣類の場合

ウールやシルク、レーヨンといったデリケートな素材や、濃い色の衣類は、直射日光による変色や生地の劣化を防ぐため、必ず風通しの良い場所で陰干しします。

ただ陰干しするだけでは乾くのに時間がかかり、生乾き臭のリスクが高まります。そこで、サーキュレーターや扇風機を使って衣類に直接風を当てるのが非常に効果的です。強制的に空気の流れを作ることで、室内でも驚くほど早く乾き、雑菌の繁殖を徹底的に防ぐことができます。

4. 【素材別】古着の匂いを取る洗濯の注意点

これまでに解説した5ステップは、古着の匂いを取るための基本的な洗濯法です。しかし、衣類の素材は多種多様。それぞれの特性を理解せずに同じ方法で洗ってしまうと、縮みや色落ち、風合いの劣化といった取り返しのつかない失敗につながる可能性があります。この章では、古着でよく見られる素材別に、匂いを取る際の具体的な注意点を詳しく解説します。洗濯表示の確認と合わせて、必ずチェックしてください。

4.1 コットンやデニムなど家庭で洗いやすい素材

Tシャツ、スウェット、ジーンズなど、古着の中でも特に人気の高いコットンやデニム製品。これらは比較的丈夫で水にも強いため、家庭での洗濯がしやすい素材です。しかし、ヴィンテージ品や特殊な加工が施されているものは注意が必要です。基本的な匂い取りステップに加え、以下の点に気をつけましょう。

特に、40℃〜50℃程度のお湯を使ったつけ置きは、皮脂汚れや雑菌に対する洗浄・殺菌効果を高め、頑固な匂いに非常に有効です。ただし、プリントTシャツのプリント部分や、濃色の衣類は高温でダメージを受けたり色落ちしたりする可能性があるため、洗濯表示の液温上限を必ず守ってください。

コットン・デニム・リネン素材の洗濯ポイント
素材名 洗濯のポイントと注意点
コットン (綿) Tシャツやスウェットに多い素材。基本的に丈夫ですが、乾燥機の使用は縮みの原因になります。プリント部分は摩擦に弱いため、裏返してネットに入れて洗いましょう。天日干しでしっかり殺菌するのが匂い対策の鍵です。
デニム (ジーンズ) 色落ちしやすい代表的な素材。特にヴィンテージデニムは、洗剤や洗い方に細心の注意が必要です。他の衣類への色移りを防ぐため必ず単独で洗い、裏返して洗濯・天日干しすることで、インディゴの色褪せを最小限に抑えられます。
リネン (麻) 吸湿・速乾性に優れていますが、シワになりやすいのが特徴。脱水は1分程度の短時間で済ませ、干す際にパンパンと叩いてシワを伸ばしましょう。使い込むほど風合いが増しますが、摩擦には弱いため、洗濯ネットの使用が推奨されます。

4.2 ウールやカシミヤなどデリケートな動物性繊維

セーターやニット、冬物のコートなどに使われるウールやカシミヤは、保温性に優れたデリケートな動物性繊維です。これらの素材は、水、特に高温のお湯に触れるとキューティクルが開いて繊維が絡み合い、フェルト化して縮んでしまいます。アルカリ性の洗剤も繊維を傷める原因となるため、絶対に避けなければなりません。

匂いを取る際は、以下のポイントを徹底してください。

  • 洗剤: 必ず「おしゃれ着洗い用」などの中性洗剤を使用します。
  • 水温: 30℃以下のぬるま湯、または水で洗います。温度が高いと一瞬で縮むことがあります。
  • 洗い方: 洗濯機は使わず、洗剤を溶かした水の中で優しく沈めたり浮かせたりする「押し洗い」が基本です。もんだりこすったりするのは厳禁です。
  • すすぎ: 洗う時と同様に、きれいな水で優しく押し洗いするようにすすぎます。柔軟剤を使うと静電気防止や風合いの維持に役立ちます。
  • 脱水: 洗濯機での脱水は30秒〜1分以内にとどめるか、乾いた大きなバスタオルで挟んで水分を吸い取る「タオルドライ」が最も安全です。
  • 干し方: ハンガーにかけると水の重みで伸びて型崩れします。必ず、風通しの良い日陰で「平干し」してください。平干し用のネットを使うと便利です。

4.3 シルクやレーヨンなど特に繊細な素材

シルクのブラウスやレーヨンのシャツなどは、その美しい光沢と滑らかな肌触りが魅力ですが、水に非常に弱いという性質を持っています。家庭での洗濯はリスクが高く、基本的にはクリーニングに出すのが最も安全です。もしご家庭で洗濯に挑戦する場合は、失敗する可能性も覚悟の上、細心の注意を払って行いましょう。

4.3.1 シルク

光沢があり高級感がありますが、水に濡れるとシミになりやすく、摩擦で毛羽立ちやすい素材です。直射日光は黄ばみの原因になるため、絶対に避けてください。洗い方は、中性洗剤を溶かした水の中で衣類をさっと振る「振り洗い」が基本。短時間で洗いからすすぎまでを終え、タオルドライ後、すぐに風通しの良い日陰で干します。

4.3.2 レーヨン

レーヨンは、水に濡れると繊維の強度が著しく低下し、非常に縮みやすい特性を持っています。洗濯機での洗浄や脱水は、生地が破れたり、極端に縮んだりする原因となるため絶対に避けてください。洗う場合はシルクと同様に中性洗剤で短時間の振り洗いをし、タオルドライ後、素早く陰干しします。

4.4 ポリエステルなど化学繊維の洗い方

ジャージやフリース、ナイロンジャケットなど、スポーツウェアやアウトドアウェアに多用されるポリエステルなどの化学繊維。これらは丈夫でシワになりにくく、家庭でも扱いやすい素材です。しかし、皮脂汚れを吸着しやすく、一度ついた匂いが取れにくいというデメリットがあります。

化学繊維の古着の匂いを取るには、皮脂汚れを分解することが重要です。基本的な5ステップの中でも、特に「つけ置き洗い」が効果を発揮します。

  • つけ置き: 40℃〜50℃のお湯に酸素系漂白剤を溶かし、1時間ほどつけ置きします。これにより、繊維の奥に染み込んだ皮脂汚れと匂いの元を強力に分解できます。
  • 洗剤: 皮脂汚れに強い弱アルカリ性の粉末洗剤がおすすめです。
  • 柔軟剤: 柔軟剤の成分が繊維をコーティングし、吸水性を妨げたり、新たな匂いの原因となったりすることがあります。匂いが気になる場合は、使用を控えるか、消臭・抗菌効果を謳った製品を選びましょう。

これらの素材は速乾性が高いため、部屋干しでも比較的乾きやすいのが特徴です。ただし、プリントや特殊な加工が施されているものは、直射日光で劣化する可能性があるため陰干しが安心です。

5. 洗濯機で洗えない古着の匂いを取る方法

デザインが気に入って購入した古着のレザージャケットやダウンジャケット。しかし、家庭の洗濯機では洗えないため、匂いが気になってもどうすれば良いか分からず困ってしまうことがあります。ここでは、デリケートな素材や特殊な構造を持つ衣類の匂いを、生地を傷めずに取り除くための具体的な方法を解説します。

5.1 レザージャケットの匂い対策

革製品は水洗いができないため、匂いケアには特別な配慮が必要です。カビ臭やタバコ臭、汗の匂いが染み付いたレザージャケットをリフレッシュさせる方法をご紹介します。

まず基本となるのが、風通しの良い場所での陰干しです。直射日光は革を傷め、色褪せの原因になるため必ず避けてください。ハンガーにかけ、数日間じっくりと湿気と匂いを飛ばしましょう。これだけでも、軽い匂いならかなり軽減されます。

それでも匂いが取れない場合は、以下の方法を試してみてください。

  1. 固く絞った布で拭く
    革の表面に付着したホコリや汚れも匂いの原因になります。水で濡らして固く絞った柔らかい布で、ジャケット全体を優しく拭き上げましょう。その後、必ず乾いた布で水分を完全に拭き取ってください。
  2. 重曹で匂いを吸着させる
    大きなビニール袋にレザージャケットを入れ、布袋や靴下などに入れた重曹を一緒に入れて口を縛ります。そのまま数日間置いておくと、アルカリ性の重曹が酸性の匂い成分を中和し、吸着してくれます。重曹の粉が直接革に付かないように注意してください。
  3. 革製品専用の消臭スプレーを使う
    市販の消臭スプレーを使用する場合は、必ず「革製品対応」と記載されたものを選びましょう。革を傷める可能性があるため、アルコール成分の強い一般的な消臭スプレーの使用は絶対に避けてください。使用前には、必ずジャケットの裏側など目立たない部分でシミにならないかテストしてから全体に使いましょう。

匂いが取れた後は、革専用のクリームやオイルで油分を補給し、保湿ケアを行うことで、ひび割れを防ぎ長く愛用することができます。

5.2 ダウンジャケットの匂い対策

ダウンジャケットの匂いの主な原因は、内部の羽毛(ダウンやフェザー)が吸い込んだ湿気による雑菌の繁殖や、羽毛自体の動物性の匂いです。ふんわり感を損なわずに匂いを取り除くケア方法を見ていきましょう。

レザージャケット同様、湿気を取り除くための陰干しが非常に効果的です。天気の良い日に、風通しの良い場所で数日間干しましょう。時々、ジャケットを軽く叩いて中の羽毛をほぐし、空気の通りを良くするとより効果が高まります。

さらに効果的なケアとして、以下の方法があります。

  • スチームアイロンの蒸気を当てる
    アイロンを衣類から少し離し、高温のスチームだけを全体にまんべんなく当てます。高温の蒸気には殺菌・消臭効果があり、湿気でしぼんでしまったダウンをふっくらと蘇らせる効果も期待できます。アイロンの熱い面が直接生地に触れないよう、細心の注意を払ってください
  • 家庭用乾燥機を低温で使う
    ダウンジャケットの洗濯表示で乾燥機が許可されている場合に限り、低温設定で10〜20分ほど乾燥機にかけるのも有効です。このとき、乾いたきれいなテニスボールを2〜3個一緒に入れると、ボールがダウンを叩いて均一にほぐし、中の湿気を効率的に追い出してくれます。

5.3 クリーニング店に依頼する際のポイント

自宅でのケアが難しい場合や、高価なヴィンテージ品、シルクやベルベットなど特に繊細な素材の場合は、無理せずプロに任せるのが最善の選択です。クリーニング店に依頼する際は、以下のポイントを押さえておくと失敗を防げます。

匂いの原因や古着の状態を具体的に伝えることが、最適なクリーニングをしてもらうための重要な鍵となります。「長年クローゼットに保管されていてカビ臭い」「タバコのヤニの匂いが染み付いている」など、できるだけ詳しく相談しましょう。

また、古着や特殊素材の取り扱い実績が豊富なクリーニング店を選ぶことも大切です。公式サイトで実績を確認したり、事前に問い合わせて相談してみることをお勧めします。

クリーニングには主に2つの方法があり、匂いの種類によって向き不向きがあります。

クリーニング方法 特徴 得意な匂い・汚れ
ドライクリーニング 有機溶剤を使って油性の汚れを落とす一般的な方法。水を使わないため型崩れしにくい。 皮脂汚れ、油性マジック、ファンデーションなど油溶性の汚れ。
ウェットクリーニング 水洗い不可の衣類を、プロが特殊な技術と洗剤を用いて水で洗う方法。 汗、食べこぼし、カビ、タバコなど水溶性の汚れや匂いに非常に効果的

古着特有の汗やカビなどの匂いは、水溶性の汚れが原因であることがほとんどです。そのため、ドライクリーニングだけでは落としきれない場合があります。お店に相談し、素材が対応可能であれば、ウェットクリーニングや消臭・抗菌加工といったオプションを検討すると良いでしょう。

6. まとめ

古着特有の匂いは、正しい手順を踏めば家庭でも効果的に解消できます。匂いの主な原因は、汗や皮脂汚れによる雑菌の繁殖、保管場所のカビ、付着臭です。これらを除去するには、酸素系漂白剤や重曹を使ったつけ置き洗いが最も効果的です。洗濯機では弱アルカリ性の粉末洗剤を使い、すすぎを十分に行うこと、そして天日干しでしっかり殺菌・乾燥させることが重要です。本記事で紹介した5ステップと素材別の注意点を実践し、お気に入りの古着を快適に楽しみましょう。